「一年間休止など考えられない」~五輪の影~

五輪・パラリンピック開催に伴い、東京ビッグサイトが約2年間使用できなくなる。同会場で開かれる約300の展示会は、同期間にりんかい線・東京テレポート駅付近に新設される仮設展示場へと移るが、仮設展示場の床面積は現在のビッグサイトの約4分の1。このままでは多数の展示会が開催できなくなる見通しだ。これに対して、展示会に出展することで商売相手を見つける全国の中小企業からは悲鳴が上がっている。

ニッチ技術は対面でしか伝わらない

中野科学(新潟県燕市)が持つ「電界複合研磨」の技術は、金属の表面を分子レベルで凹凸を無くすことができる。世界でも珍しい技術を武器に社員30人で年商5億円を稼いでいる。
ニッチな技術だからこそ、自らを必要とする顧客を探すのに苦労する。ホームページで情報を出すだけではたどり着けない。「『こんな技術あるかな』と探す人に向けて情報を発信するのがホームページ。展示会は『こんな技術あるんだ』という顧客と出会う場所。今、顧客となっている企業の中で、事前に当社の技術により課題を解決できることに気が付いていた人はほとんどいない。展示会場で技術に目を留めた人から「そういえば…」と相談されて仕事が始まる。だからこそ、技術の存在を知ってもらう展示会が重要」と中野信男社長は話す。
1、2年で取引が終了する期間的な取引が売り上げの3割を占める。そのため、常に新しい顧客を獲得しなければ規模縮小を免れない。展示会は年間売り上げ計画の新規開拓部分を担う、営業の要だ。2016年は4件の展示会に出展した。多い年は6件に出ることもある。
情報収集も展示会の重要な要素だ。競合他社が顧客と作り出した新しい技術が、市場のトレンドとなることもある。その場合、一瞬で追いつかなければ、契約を打ち切られる。
そんな技術がホームページに告知されることはなく、展示会が唯一の頼りだ。
「新規開拓、情報収集どちらにおいても、一年間その機会が失われることなど考えられない」(中野社長)

中野科学(新潟県燕市)の中野社長

 


国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎

2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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