ベテランですが、何か

　18歳でイベント業界に入ってから15年がたった。休日は、知り合いのカメラマンの個展や、街中のイベントに足が向かい、仕事のことが気になってくる。「イルカのショーの尺が長い。客の導線計算がされていない。スピーカーはそこでいいのか」そんなことばかり気になるから、休めたものではない。

　展示会では、ためらわずにカメラを向けてくる人が増えた。コンパニオン業界を覆っていた体育会系の雰囲気もなくなった。変わったな、と思っていたら、出展企業の社員からプレゼントークや、資料に対するアドバイスを求められたり、自分の仕事も変化していた。

　仕事を始めたころは厳しい先輩ばかりだった。早く一人前になるため、先輩のナレーションをこっそり録音して練習した。25連勤も、当たり前。今も平日は企業向け、土日は一般向けのイベントでMCを務める。いつの間にか、イベントの専門家になっていたのかもしれない。

　それでも話すことが好きだ。人前で話す楽しさを知ったのは、小学校時代の国語の授業で朗読をしていた時だ。高校卒業後、アルバイトでたまたまマイクを持った時、当時の記憶が戻って、それから今日まで、その楽しさの中にいる。

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