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アジアで加熱する日本食産業 @ 香港、台湾
- 2018/1/25
- ジェトロ(日本貿易振興機構), ラーメン, 香港
▲香港フードエキスポの様子。
アジアで加熱する日本食産業
アジアの展示会に目を向けると、やはり賑わいを見せているのは食品産業だ。マレーシアで開かれる食品見本市「FHM(フード・アンド・ホテル・マレーシア)」では日本企業43社、ベトナムの「ベトナムフードエキスポ」では37社が出展。また香港で開かれる飲食業展「香港フードエキスポ」は、過去最高となる154社の日系企業が出展した。
アジア諸国で日本食が定着してきたことから、本格的に進出を図る企業が増えているという。香港で日本企業の進出支援を行うジェトロの鴨谷賢二氏は「香港では20年ほど前から日本の外食産業の進出がはじまった。もともとは刺身を食べる習慣がなかったり、日本酒やワインも馴染みがない地域だったが、企業の進出や訪日客が増えたことで日本食がブームとなり、今では現地の多くの人が日本食レストランを訪れる」と話す。
実際に、壱番屋(愛知県一宮市)が展開する「カレーハウスCoco壱番屋」は10年に香港で第一号店を出展し、現在では6店舗を展開。香港全体での売り上げは前年比10%ほど増加を見せている。香港と同じく、日本食レストランが急増しているのが台湾だ。年間訪日客数は416万人と急伸しており、日本食人気が過熱しているという。
特に人気を博しているのがラーメン店だ。
もともと麺食の多い台湾だが、近年になって日系ラーメンブランドが急増している。「らあめん花月・嵐」が14店舗、「一風堂」が9店舗、「屯京拉麺」は7店舗、「山頭火」「三田製麺所」は5店舗といった具合に、日本の人気ラーメン店は次々と台湾に出展を果たしている。昨年6月に台北市に出展した24時間営業の「一蘭」は、250時間連続で行列が絶えなかったとしてギネスに認定されたほどの盛況ぶりだ。
日本台湾交流協会の松崎英明氏は香港での日系ラーメンブランドの人気について「現地のラーメン店とは違い、デートや記念日などの〝晴れの日〟に訪れるのが日系ラーメン店。香港からの訪日客の7割が日本のラーメン店を訪れると言われるほど日系ラーメンは人気で、若者にとっては日系ラーメン店を訪れることがステータス化している」と語る。
回転寿司チェーンの進出も目立ってきた。「くら寿司」は14年2月に台湾初出店を果たし、現在10店舗まで増加。同じく「はま寿司」は15年12月に初進出し、現在2店舗を展開している。「台湾では地元発の回転寿司チェーン『争鮮回轉寿司』が150店も展開されており、庶民も寿司に親しみを持っている。そこに近年になって日本の寿司チェーンが進出してきたことで、本場の味を求める客が殺到している」と松崎氏は語る。
こうした日本企業の進出が過熱する一方で、飲食店ならではの課題も多い。
その一つが、昨年1月に施行された労働基準法の改定だ。「労基法の改定により、現地人の採用が非常に厳しくなった。週休2日、年間休日115日、残業は月40時間以内などに加え、普通残業手当は1.34倍、祝日出勤手当は2倍など、就労者に向けて手厚い制度が敷かれた。この改定は民主進歩党の目玉ともいえるもので非常に厳しく、前述の項目で一つでも違反があれば雇用者側に高額な罰金が命じられる。日本での経営と同じように考えていると、罰金で倒産に追い込まれることもあり得る」と松崎氏は話す。
国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平
2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。
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