「078(ゼロナナハチ)」若者の意識は変わったか【主催者に聞く】
- 2017/12/25

神戸市の街づくり、挑戦と実験
―どうして「078」をやることになった?
神戸市も多分に漏れず人口減少が続いており、「神戸 2020」ビジョンという計画を掲げ、「若者に選ばれる、誰もが活躍するまち」をつくるという目標を掲げている。その一環で、市と地元の企業や教育者が集まる検討会が開かれ、イベントの草案が生まれた。
神戸は昨年、阪神淡路大震災の復興債を返却した。震災で失われた街を取り戻す行程から、新しい街をつくり出す行程へと変わったわけだ。そこで問題になるのが、若者の流出だ。神戸の学生の場合、神戸という地元への愛着は強いが、就職となると東京・大阪などに出て行ってしまう。神戸にいては将来の夢を描けない、と感じているのだろう。そこで、彼らが希望を持てる、夢を実現できる街にしていく必要があった。
―具体的には、何をしようと思った?
私の研究室では、以前から富士通と学生が共同で事業開発する、という取り組みを行っていた。そこで生まれた技術やサービスは、神戸で開かれている「神戸ITフェスティバル」という展示会に出展する。学生が企業と共創することで、事業やビジネスに対する見方が変わり、たとえば起業するとか、将来の新たな選択肢も出てくる。
「078」というイベントでは、事業だけでなく、映画や音楽などさまざまなジャンルで挑戦したいと思う若者に対して実験の場を提供したいと思って生まれた。はたから見ると、映画祭や音楽ライブ、ファッションショーや子供向けのイベントなどいろいろな企画を一緒に合わせただけに見えてしまいがちだが、根本にあるのは一つ。若者が何かをやりたいと思ったとき、神戸ならそれができるよと、示したかった。

―初開催を終え、その目的は達成できたか?
1回イベントをやったから若者の意識が変わる、ということはない。イベントはいわばお祭りで、開催に至るまでの準備期間や、終わった後の行動を経て、ようやく地域に意識の変化が根付くと考えている。
イベントとしては初回ながら3万6500人が集まり、成功といえる。確かに、若者が主役といいながら実際にイベントを盛り上げたのは確かに大人たちだし、本当の意味で若者が主役になれてはいない。だからこそ、継続が必要。数を重ねていくことで、きっとその文化が根付いていくと思う。
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国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平
2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。