IR仕掛ける海外運営会社大手

 
  • 2017/12/10

IR海外運営会社大手  シーザーズ・エンターテイメント 、MGMリゾーツ、ラスベガス・サンズ

海外IR運営会社の動きが活発になっている。米国IR運営大手のシーザーズ・エンタテインメントは、北海道苫小牧市と大阪府・市に対し事業案を提出したと発表した。7月にIR事業提案の募集を始めた苫小牧市の元にはシーザーズの他にも15社から提案が集まっており、そのうち8社は海外事業者によるものだ。(関連記事=こちら)

 ラスベガスに本社を置き中国マカオにも進出するMGMリゾーツは3年前から日本に拠点を置き、政府、地方自治体、国内企業との接触を密にしてきた。
日本法人CEOのエド・バワーズ氏はIRを巡る法的な整備が、ギャンブルが既に日本で引き起こしている社会的な問題に対する規制になるとして、IRが公共政策の下に行われることを述べた。

 同じくラスベガスに本社を置き、シンガポールの大型IR「マリーナベイサンズ」を運営する業界の最大手ラスベガス・サンズは「日本人の夢、文化、おもてなしを反映した総合リゾートを設計することを約束する」として、日本政府の方針に沿った開発姿勢をアピールした。

 IR運営事業者の選定においては、海外事業者の優位性を指摘する関係者が多い。 政府が4月に招集したIR推進会議のメンバーで大阪商業大学の美原融教授は、「1兆円規模と言われる投資額の調達が、日本の企業では難しい」と話す。投資金額の大きさだけでなく、IR運営事業者は非常に厳しい法律にさらされるため、手を挙げる企業の数が限られるとも予想する。「いずれの企業が行うにしても世界中から資金を集めなければならず、難しい知恵の戦いになる。経験値のある企業ほど有利だ」(美原教授)

▲政府が招集したIR推進会議のメンバー、大阪商業大学の美原融 教授は、「1兆円規模と言われる投資額の調達が、日本の企業では難しい」と話す。
▲政府が招集したIR推進会議のメンバー、大阪商業大学の美原 融教授

 シーザーズ、MGM、サンズとも政府の方針を全面的に尊重し、日本企業と共同で開発やプラン設計に臨むことを鮮明に打ち出す。IR運営権が政府の管理下におかれる免許制であり、IRに関する政府方針でも日本の魅力を伝える国内観光の入り口としての役割が明記されていることを意識したものだ。「日本的なIRとは何か、という問いを拠点開設以来研究し続けている。建築、内容、サービス提供あらゆる面で日本人の考え方と合わないものが政府に承認されることはないだろう」(MGM・バワーズ氏)

▲ラスベガスに本社を置くMGMリゾーツの日本法人CEOのエド・バワーズ氏は、「日本人の考え方と合わないIRが政府に承認されることはない」と考える
▲ラスベガスに本社を置くMGMリゾーツの日本法人CEOのエド・バワーズ氏

 大きな経済効果をもたらす前提でIRの議論は進みやすい一方で、必ずしもその経営が安定しているとは言い難い。リーマン・ショック後、IR運営会社の業績はほとんどが数年間低迷し続けた。好調を唯一維持したサンズにしても、2011年に開業したシンガポールやマカオの業績がラスベガスの低迷を支えた。海外進出が遅れたシーザーズは、15年1月、カジノ運営の子会社で破産法を申請している。

 外国人専用で運営されている韓国のカジノは元々赤字経営が続いており、中国で韓国行きの団体旅行販売が禁じられた今年の3月以降は一層経営が悪化している。

 日本でIRが開業したとしても、カジノだけで観光客が集まることはない。MICEやエンタテインメントをはじめ、世界の競合IRとの差別化が図れなければ失敗は免れない。IR運営会社の経営能力に対しては厳しい視点で臨む必要がある。

依存症対策法案 再提出へ
自由民主党と公明党は21日、「ギャンブル依存症対策法案」を12月9日までの今国会に再提出し、早期成立を目指す方針を確認した。依存症対策法案は6月の国会で提出されたが、衆議院解散で廃案となっていた。与党はIR実施法案の提出に先立って依存症対策法案の審議を申し合わせている。そのため、IR推進派の議員らは依存症対策法案の早期審議入りを求めてきた。


国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎

2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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