極東最大の経済地「サハリン」~深掘りロシア経済2~

今年9月6、7日、ロシア極東のウラジオストクで第3回東方経済フォーラム(EEF)が開催された。豊富な資源が眠っていながら、ソ連崩壊により遅れていた極東開発が動き出そうとしている

日本もエネルギー関連事業に参加

 極東最大の経済地「サハリン」

~深掘りロシア経済2~

■複雑な社会・経済状況の極東になぜ関心が集まったのか?

1990年代以降滞っていた状況が、2000年、プーチンの登場によって変化を迎えた。

この地域の豊富な資源と戦略的に重要なアジア太平洋地域とつながっているという点に注目し、極東地域の開発を重視するという認識を示したのである。原油価格の高騰によって得られた国家予算を使って、極東地開発強化に取り組むという姿勢を明確にし、2002年には極東地域に関する新しい国家プログラムが策定された。06年には、12年に極東の中心であるウラジオストクでのAPECサミット開催の意向を表明し、極東開発プログラムに見直しや修正を加えながら、開発を活発化させた。

さらに12年にプーチンが首相から大統領に復帰すると、副首相の1人に極東連邦管区全権代表を兼任させたり、極東の開発を管轄する極東発展省を新設したりと、改めて、極東地域の開発や発展の重要性を強調する政策をとった。

そして、12年9月には念願のウラジオストクでAPECサミットが開催され、アジア太平洋地域や世界のビジネスの注目を集め、極東が世界に開かれた地域となった。これを機にウラジオストクには巨大な橋や飛行場の整備などインフラの改善が進み、ホテルや様々な設備の建設が行われ、町全体が整備されたことは言うまでもない。極東を支えるのはウラジオストクだけではない。

極東で人口規模や知名度の高さはウラジオストクだが、極東最大の経済力を誇るのは資源の豊富なサハリンだ。サハリン島沖で進められているサハリン1やサハリン2といったエネルギー開発プロジェクトには日本も参加しており、生産された原油や天然ガスが日本を含むアジア各国に輸出されている。ソ連時代のウラジオストクは軍需産業の拠点で、閉鎖都市だった。従って当時の極東の中心はハバロフスクであった。ハバロフスクには今も極東連邦管区の拠点が置かれており、ウラジオストクに次いで人口が多い都市となっている。日本企業による植物工場が建設されたり、空港整備に日本企業が参入する計画もある。

 

中馬瑞貴研究員

 

(一社)ロシアNIS貿易会(東京都中央区)中馬瑞貴研究員上智大学外国語学部ロシア語学科卒、慶應義塾大学法学研究科政治学博士課程。2008年より同社。


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