訪日中国人、伸び率が鈍化

個人客は増加民泊利用者も

訪日客の急増を牽引してきた中国人訪日客の数が、頭打ちの様相を呈してきた。日本政府観光局は20日、訪日外国人客数の推計値を発表し、今年1~8月までの中国人訪日客数が前年同期比8.9%増となる488万2200人にとどまることを明らかにした。

訪日中国人の数は、少なくとも今年6月までで46カ月間連続で過去最高値を更新している。1月には約63万人が訪日し、前年同月の約48万人を大きく上回っていた。

だが、2月になって、対前年伸び率を大きく下げた。2月の伸び率はわずか2%にとどまるほか、3~5月は2%台で推移。6月には0.8%にまで伸び率を下げる結果となった。

中国では、海外旅行の市場規模における伸び率全体の伸び悩みが指摘されている。2016年の中国人の海外旅行者数は全世界で1億2200万人にのぼるが、そのうち香港・マカオ・台湾への渡航を除くと5526万人に留まる。同3国・地域以外への出国数は増加を続けているものの、伸び率自体は縮小傾向を見せており、今年もさらなる低下が見込まれている。

背景にあるのは、中国経済の安定化だ。昨年の実質成長率は6.7%に留まっており、賃金・所得の伸びも緩やかになっている。

また、団体旅行の低下も要因としてあげられる。観光庁によると訪日中国人客における個人・団体の比率は、17年1~3月で6対4となっており、10年時の2対8から逆転する状態になっている。こうした状態は訪日以外の海外旅行全般に見られており、旅行環境の変化が伸び率に影響しているとの見方もある。

日本政府観光局は「訪日時に民泊を使用する人が増加している可能性もある。『Airbnb』のほか、中国の企業が運営する『自在客』などの仲介サイトもあるため、民泊への意欲は高い。民泊の利用状況を示す正確なデータがないので確実とは言えないが、海外旅行に対する環境の変化はあると言えそうだ」と話す。


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国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平

2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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