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- ―このひとに聞く― 地方型IRへの対応が必要
―このひとに聞く― 地方型IRへの対応が必要
- 2017/8/25
▲自由民主党岩屋毅衆議院議員(59)
1957年8月24日生まれ。早稲田大学卒業後、衆議院議員秘書、大分県議会議員を経て、90年に衆議院議員初当選。現在7期目。超党派の国際観光産業振興議員連盟(IR議連)幹事長を務める。
カジノを含む統合型リゾート施設(IR)を取り締まる実施法の試案づくりを政府から委任された、特定複合観光施設区域整備推進会議(IR推進会議)が、8月1日、取りまとめ案を提出した。超党派のIR議連で幹事長を務め、IRに関する国会内の議論を主導する自由民主党の岩屋毅衆議院議員に、提出案に対する考えを聞いた。
「全体の8割は賛成、残りの2割についてはまだ議論の余地あり」。提出案に対する感想を尋ねると岩屋議員はこのように答えた。
2割部分に当たる内容として最初に挙げたのが「地方型IRへの対応」だ。提出案はIRに対して「世界的な競争力を持ちうる」という表現を使っており、世界のIRに比して劣らぬ大型施設を求めた内容と受け取りやすい。だが、誘致に手を挙げる地方自治体からは「地方にはそぐわない」という声も聞かれる。岩屋議員も議員連盟で地方型のリゾートIRについて議論してきた経緯を踏まえ「地方への道を開くべきだろう」と話した。
具体的には「2~3カ所」とされている初期段階でのIR候補地を「3~4カ所」に増やすこと、また、カジノ部分の床面積をIR全体の3%未満とするような制限に対して、検討を加えたい考えのようだ。提出案は、段階的に10~11カ所に増やしていくことを想定しているものの、初期段階では大都市を優先することが予想されるため、地方にとっては1つでも数が増えればその分門戸が広がる。
また、カジノの床面積比率が規定されると、魅力的なカジノを作ろうとするほど全体の計画を大きくせざるを得ず、これも地方にとっては参入を難しくする要因となる。「背景の経済力が違うところに同じ条件をあてこむ必要があるだろうか」(岩屋議員)
次に挙げたのは、「日本人客への入場制限」に関するものだ。提出案ではカジノ依存症への対策として、「マイナンバーカードでの本人確認」「入場回数の上限設定」「入場料の徴収」が明記された。これに対し岩屋議員は、過度な規制がカジノやIR全体の事業性を脅かすことにつながりかねないとして、注意を促した。また、依存症対策では、日本型IRがモデルの一つとするシンガポールが、IR開業後にギャンブル依存症患者の比率を下げていることに触れ「参考にするべき」と述べた。
その他には、監督官庁と、IRから上がる国と自治体の収入の使い道について触れた。監督官庁については、カジノ部分は内閣府の外局として設置される「カジノ管理委員会」が担当する一方で、IR全体の主務大臣は観光庁を管轄下に置く国土交通大臣とされている。この二重構造の権限を区分けする必要があるとした。また、自治体収入については、IRが設置された自治体だけでなく、周辺地域全体が潤うような制度が望ましいという見解を示した。
―IR推進会議―
これまでの流れ昨年12月に国会を通過した特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(IR推進法案)では、IRを運営するための具体的な法整備を1年以内をめどに行うことが記された。そのため、政府は年内にIR実施法案を国会に提出することを目指し、今年4月に民間の専門家8人を委員とする特定複合観光施設区域整備推進会議(IR推進会議)を招集した。以降、7月末まで10回の会議を重ね、8月1日、安倍首相を本部長とする特定複合観光施設区域整備推進本部(IR推進本部)に対し、取りまとめ案を報告した。
国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。