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語る手記(3)
- 2017/7/25
勝負の世界では、時に敗者が脚光を浴びることがある。人生を賭して挑む姿に、自らを重ねているのかもしれない。歌人の島田修二さんはこう詠む。「肩を落とし/去りゆく選手を/見守りぬ/わが精神の/遠景として」。敗者の心中を察して感傷に浸った気分になるのは、年のせいだけではないだろう。
米大リーグで4日、テキサス・レンジャーズのダルビッシュ投手が7敗目を喫した。4回3分の1を投げ、11安打7失点。今季ワーストの結果でマウンドを降りた。「運がなかったと思う」。試合後、悔しさを押し殺すように淡々と語った。過去を振り返っても仕方ない…が、なんと勇ましい姿だろうか。
日本の政界でも大きな敗北があった。2日の東京都議選で都民ファーストの会は49人が当選。一方、自民党は過去最低の23議席に終わった。党内でも批判がやまないが、都民の声を突き付けられた巨党としては「運がなかった」とも言っていられまい。
日本時間で12日、大リーグのオールスターゲームがはじまる。日本人選手の出場はダルビッシュ投手のみ。第一線で活躍するプロに励ましの言葉など必要なかろうが、球界の大先輩の言葉を一つ。「ワーストはネクストのマザー」(長嶋茂雄)。最悪を次に生かす。その姿もわが精神に刻みたい。
国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平
2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。