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メディアは今・前 テレビマンの視点 〜番組制作費をイベントで稼ぐ〜
- 2017/6/26
▲角田陽一郎氏は、バラエティ番組を中心にディレクターやプロデューサーとして番組作りに携わってきた
昨年末までTBSに在籍し「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金曜日のスマたちへ」などの人気番組を世に送り出した角田陽一郎氏は、公開収録の入場料で稼ぎ、広告収入に依存しない番組制作を実現した。新たな収益源を制作現場が持つことで、自由な番組作りを実現した。
テレビの制作現場で、広告出稿主を無視することができないのは、制作費を広告料に依存しているからです。しかし、私がTBSを辞める直前に作っていた番組(「オトナの!」)は、音楽ライブを主催して来場者から入場料を徴収し、制作費を稼ぎました。おかげで有名無名関係なく私が呼びたい人を呼ぶことができました。
ヒントを得たのは、東京フレンドパークⅡという番組で嵐が出演し、22%の視聴率を獲得した時です。局内のスタジオで収録したのですが、仮に7万人を収容できる東京国立競技場で3000円ずつ徴収していれば、2億1000万円の収入になり制作費を稼げると思ったのです。
私は、これを放送の0次利用と呼んでいます。1次利用は作った番組のCM枠を売りますが、0次利用では、放送前に収益性を整え、放送で拡散させます。
たくさんの人が同じものを欲しがった20世紀型の消費社会では、大量生産大量広告が必要でしたが、今は、皆それぞれ欲しいものが異なるので、供給側も適量しか生産しません。良い商品は、必要としている人のところに口コミで広がります。広告依存型のテレビの事業モデルで面白い番組をつくることは非常に難しくなっています。
しかし、テレビがなくなるとも思いません。最近、ネットも思ったほど自由じゃない、テレビは、ある意味好きなことができる環境だと思うようになりました。
ネットの場合、存在が認知されなければ無いものと等しいので、過激な表現を取らざるを得ません。テレビの場合は6局しかないので、愚直に良いものを作っていればいずれ視聴者が気付いてくれると思うのです。
国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。