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人口転出入差 前年から9割減
- 2017/6/12
- 近畿
▲13年に「大正ものづくりプライド」を打ち出した筋原章博前大正区長(今年4月から隣の港区長に就任)
大正ものづくりプライド 世界的技術 住民に周知
2016年、大正区の転出者から転入者を引いた数は24人となり、前年の273人から大幅に縮小し、転入増が目前に迫った。一連の取り組みは大阪市内で最も人口が少ない大正区が、人口減少を止めるために始めたものだ。
区内の中小企業が元気であれば、そこで働く社員とその家族が区内に住み続ける。だが実態は、業績の悪化や、後継者不足などの問題から廃業する中小企業が後をたたない。その結果、区外へ引っ越す人が、区内に越してくる人よりも多い「転出増」の状態が続いていた。
「大正ものづくりプライド」を打ち出した筋原章博前大正区長(現・大阪市港区長)は、「最悪のループ」と呼ぶ街の衰退サイクルを幾度となく目にしてきた。閉鎖された工場跡地が売られマンションが建つと、住民から周辺工場に対する騒音苦情が起こり、別の工場が閉鎖する。程なく従業員を顧客としていた飲食店が閉鎖し、バスの本数が減る。その結果、住みづらくなった住民が区外へ越していく。工場が消え、従業員と住民がいなくなり、空き家だけが残るのだ。
「大正ものづくりプライド」の下で行われた一連の施策は、世界的な技術を持つ地元企業の力を地域住民に知らせることと、自身の実力に気がついていない中小企業に自信を持たせるために始まった。「住民や企業経営者が、地域に誇りを持てば、転出が減ると考えた」(筋原氏)
国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。