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経済特区で増え始めた外国企業 ロシア ~近くて、遠い国~(第5回)
- 2017/4/19
- ロシア
産業育成政策相次ぐも道半ば
ロシア政府は現地生産する外国企業に向けて税制優遇などの誘致政策を行っている。これにより、自動車や医薬品関連メーカーなどの日本企業が進出する機会が増えた。その時に工場立地として地方都市が選ばれるケースが増えている。
ロシアでは2000年代から各地に経済特区やインダストリアル・パークなどの経済誘致特区の設置を強化・拡大し、特区進出企業に特典を与えていることが1つの要因となっている。ちなみに、イノプロムが開催されるスヴェルドロフスク州には日本企業の進出こそ見られないが、「チタン・バレー」と呼ばれる経済特区がある。
こうした政策は一定の成果を上げているものの、まだロシア経済の構造を大きく変えるには至っておらず、やはりエネルギー資源の存在が根強い。昨今の欧米による経済制裁の結果、輸入代替政策がとられ、農業やITなど一部の分野については国内生産が増え、輸出への依存度が下がったといわれる。だが、肝心の製造業ではそのような兆しは見られていない。
また、技術導入が開かれた形で進められるのではなく、現地生産率の高い製品に優遇措置を与えるなど、国内産業に対する保護主義的な方向に向かいつつあるのも大きな問題となっている。エネルギー資源を輸出して機械や設備を輸入している経済構造のままでは、なかなか安定した経済大国へとのし上がることが難しい。これは連邦政府も十分に理解しており、更なる構造改革が模索されている。
これまでは、ロシア全域での経済動向について述べてきた。ここからは、イノプロムが開催されるスヴェルドロフスク州およびその州都エカテリンブルクについて紹介したい。
ロシアは地域によって経済・産業構造が大きく異なること、資源国のイメージが強いことは前述の通りであるが、そんなロシアにおいて、製造業が大きく発展した工業地域といえるのが、欧州とアジアの境目といわれるウラル山脈を中心に広がるウラル地域である。そのウラル地域の政治や経済において中心を占めるのが構成主体の中で5番目に人口が多いスヴェルドロフスク州であり、州都が人口100万人を超えるエカテリンブルク市だ。