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コミケ参加 数%が外国人~シリーズ五輪の影~
- 2017/3/29
- コミックマーケット(コミケ), 東京オリンピック・パラリンピック, 東京ビッグサイト会場問題
▲コミケの入場を待つ待機列
3日間で55万人が参加する同人誌イベント「コミックマーケット(通称、コミケ)」が、2019~20年の開催場所を決めきれずにいる。東京五輪の開催により例年通りビッグサイト全館で実施することは困難だというが、多数の外国人も参加することから、地域の観光産業にも影響を及ぼすことになりそうだ。
アニメの舞台となった場所を訪れる「聖地巡礼」
2016年12月29日。ビッグサイトの最寄り駅である、りんかい線・国際展示場駅には早朝から数万人の列ができていた。千葉県に住む弁護士の野村伴和さんは「入場を待つ待機列もコミケの名物。待っている最中に周囲の人と意気投合することもある。外国人の姿もよく見かけ、以前はコスプレを楽しみに来た韓国人と知り合った」と語る。野村さんがコミケに通い出したのは10年以上前。深夜アニメやライトノベルが趣味で、高校生になると友人とともにコミケに来場するようになった。
近年になって外国人来場者の姿をよく見かけるようになったという。欧米系やアジア系など幅広く、特にコスプレイヤーが集まるゾーンで頻繁に見かけるのだという。コミケに参加する外国人の数については、主催者側も実態を把握していない。だが、運営に携わるコミケ準備局の里見直紀氏によると、昨年3日間で55万人が参加したコミケのうち、外国人来場者は数%に上ると推測している。
里見氏が昨年3月にまとめたコミケに参加する外国人488人を対象にしたアンケートによると、海外人のうち半数が韓国人だ。そのほかにも、台湾人や中国人といったアジア圏からの来場者が多く、アメリカ人は5・1%だった。こうした外国人来場者の目的は、コミケで販売される同人誌を購入するためであり、また、漫画やアニメ、ゲームといった日本のコンテンツに触れるためだ。海外でもこうしたコンテンツ関連のイベントはあるものの、コミケほど大規模で開かれているものはない。
里見氏が行った調査によると、外国人来場者の33%は、会期中に3万円以上5万円未満の同人誌・グッズを購入する。中には大量に購入する来場者もおり、10万円以上の金額を使用するという者も、全体の6%いた。こうした外国人来場者はコミケで消費するだけでは終わらない。外国人来場者の滞在日数を調べたところ、特に女性の滞在日数が長く、2週間以上滞在する人が約4分の1いるという。当然、地域の観光産業にもつながってくる。
外国人来場者のうち、コミケ以外の買い物に10万円以上使う者は16・11%、5万円以上10万円未満は14・44%いる。観光庁が実施した15年10~12月期の訪日外国人消費動向調査では、1人当たりが買い物に使用する金額は平均5万7030円だ。コミケ来場者の消費金額は一般の訪日客と比較しても低くなく、観光産業に対する影響も少なくない。来場者の観光場所は、ビッグサイトがある東京だけというわけではない。来場者が滞在中に訪れた観光地をまとめたところ、大阪が20・7%、京都が16・2%にのぼり、関東以外にも足を延ばしていることがわかる。アニメの舞台となった場所を訪れる「聖地巡礼」を目的に地方に赴く人もいると、里見氏は分析する。東京五輪の開催により、19~20年のコミケ開催場所は今も決まっていない。仮に会場を移すとして、これら外国人来場者にどんな影響をもたらすのか、計り知れない。
国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平
2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材。