テーマ設定で会場装飾華やかに「日本ホビーショー」

▲華やかなブースが並ぶ昨年ホビーショーの様子

「安い」イメージの払拭

日本ホビーショーを主催する(一社)日本ホビー協会(東京都台東区)は、2014年から手作り作品のイメージ刷新に力を注いできた。手作りに「安く手に入る」イメージが重なっていたため、「一点物こそ最大の贅沢」を合言葉に広報活動を続けてきた。対象は消費者だけではない。むしろ、協会に加盟する企業に向けたものともいえる。

協会がはじめに取り掛かったのは、年ごとにテーマを設定することだった。昨年は「ゴージャス」、今年は「上質」。出展者向けの説明会を募集開始前と、締め切り後の2回開催するようになったのも、テーマを出展者に浸透させるためだ。「1年間じゃ何も変わらない。最低3年は言い続けよう」。日本ホビーショーの委員長を務める木村隆士氏は委員会のメンバーに言い続けた。

効果は年を追うごとに現れてきた。14年に比べ15年、16年と当日の会場ブースが華やかになった。「競合先が変われば、うちもやらなければ、と考えるようになる。最近は、『来年のテーマは何ですか』と早い段階から確認してくる企業も出てきた」(木村委員長)。

17年に関しては、過去最速で全てのコマが売り切れた。これも成果の一因かもしれない。

日本ホビーショーの委員長を務める木村隆士氏

新市場獲得のための広報戦略

手芸に関わるメーカーや販売店が加盟する日本ホビー協会では、好業績企業と低迷企業の差が鮮明になりつつある。業界では厳しい先行きを予想する人が多いものの、流行を掴んだ企業は売り上げを大きく伸ばしている。

両者を分けたポイントは、手作り作家が消費者向けに作品を販売するネットサービスだ。「minne(ミンネ)」(提供:GMOペパボ)、「Creema(クリーマ)」(提供:クリーマ)「iichi(イイチ)」(提供:Pinkoi Japan)といったサイトの利用者が増えたことで、作品の販売で売り上げを立てる作家が多く現れた。

ここ2~3年で市場が突然できあがったため、まだ乗り遅れている企業が多い。また、新市場の年齢層が若かったことも影響している。中高年の需要に長く支えられてきた業界では、突如現れた宝のような若年ターゲットに気が付いているものの、先細りながらも一定の需要がある従来の顧客と、いまいち姿が見えない新しい顧客を比べ、前者を選んでしまう人が多いのだ。

作り、学ぶことを楽しむ人が集まる従来の市場と、売りたい人と買いたい人が集う新市場では、求められる商品が異なる。生き残るために新市場に踏み出すメッセージを打ち出すことを決めた木村委員長は、ホビーショーのテーマを「ゴージャス」、「上質」とした。新市場で求められる商品を内外に示すためだ。

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