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- 強い指導者を望む国民性 ロシア ~近くて、遠い国~(第1回)
日本、産業見本市のパートナー国に
2016年12月、大統領としては11年ぶりにロシアのプーチン大統領が来日した。安倍総理とプーチン大統領は同年5月にロシアのソチ、9月にウラジオストク、11月にペルーのリマと、1年間に4度もの首脳会談を重ねた。
昨今のロシアは、欧米による経済制裁を受け、G8から排除され、さらにはトルコやエジプトなどとも一時的な緊張関係に陥るなど、国際社会との亀裂が著しい。しかし、従来欧米よりであるはずの日本はロシアとの経済協力発展に向けて動き出したように見える。そのことをよく表しているのが、ロシア最大規模の総合産業見本市「イノプロム」で、日本は2017年パートナー国となることが決定していることだ。
ロシアといえば、石油や天然ガスといったエネルギー資源が豊富で、同国の経済は典型的な資源依存型、その他の産業、特に製造業の発展は遅れているというイメージが強いのではないだろうか。そのロシアで開催される大規模な産業見本市で日本がパートナー国を務めるというのは、当然、日本の製造業、技術に注目するロシア側の強い関心があってのことであるが、日本としてもロシア市場でのプレゼンスを高めるチャンスである。
ロシアは大国意識が根強い一方で、帝政時代から、欧州より遅れているというコンプレックスを常に抱えている。賢明な指導者の下で国民が一致団結し、巨大な国土と豊富な資源を活用することで欧州に追いつき、高い文明に到達できるという発想が根底にあり、ロシアのような大国を率いるには強力な指導者が必要であると考えられる傾向にある。
ここにForbes誌で4年連続「世界で最も影響力を持つ人物」に選ばれたプーチン大統領に対する国内での高い人気の理由が秘められている。次回は国民からの信任を集める強い大統領の横顔から、ロシア経済をひもといていく。