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世界最大規模の楽器の見本市
- 2017/2/17
▲アナハイムコンベンションセンター
NAMMショーに10万人
世界最大規模の楽器や音楽機材の展示会「NAMMShow(ナムショー)」が、1月19~22日、米国アナハイムのアナハイムコンベンションセンターで開かれた。出展1779社、来場者10万6928人はともに過去最高の数字だ。ショーに来場者として参加した日本人に話を聞いた。
ナムショーは、毎年1月にアナハイムコンベンションセンターの7万5500㎡の展示会場を借り切って行われる。会場には楽器をはじめ、録音用機材、照明機材、楽器製作用の工作機械まで並ぶ。
主催のNAMMは、「NationalAssociationofMusicMerchant」の略で、米国の音楽関連業者が集う団体だ。ショーに参加できるのは基本的にはNAMMの会員に限定されているが、年会費を支払えば米国以外の音楽関係者も入会できる。
▲世界各国の大小の楽器メーカーが新商品を発表する場になっている
日本でドラムの卸販売している佐藤志岐子さんも、新しい商品の仕入れのために5年前から毎年参加する。世界各国からメーカーが集まるのが魅力だ。例えば、シンバルであればトルコのメーカーが強い。日本に正規の輸入代理店を持たない楽器メーカーを中心に、そこでしか手に入らない商品を仕入れることができるのだ。
年々、中国系メーカーが目立つようになった。派手にブースを装飾しているが、人がまばらなことが多い。まだ、中国製の楽器はそれほど人気がないと感じた。
来場者は増えている。だが、一部の出展者は「冷やかしの客ばかり増える」と愚痴をこぼしていた。どういう経緯で入場したのかわからないが、明らかにバイヤー関係者ではない親子連れや、ファン以外の何者とも思えない若者グループを多く見かけた。
佐藤さんが古くから知るドラム工房2社が今年出展しなかったのも、そんな理由からだ。だが、そのうち1社は会場近くの音楽スタジオを借り切って、独自の商談スペースを設けた。ショーに毎年訪れる自分たちの顧客には事前に招待状を送り、単独の商談会を開催した。
そんな企業は珍しくない。展示会場周辺の至る所で、ショー開催期間に合わせた楽器メーカーの展示会が開かれる。ショーでは、たくさんのプロミュージシャンがミニライブを行う。今年はスティービーワンダーや、人気バンド・ボンジョヴィの元ギタリストのリッチー・サンボラがステージに立った。
そんな贅沢な空間だからこそ、世界中から音楽関係者が集まる。この時期、アナハイムのホテルはショーの関係者で埋め尽くされ、いくつかのホテルでは連夜ライブや音楽イベントが行われる。アナハイムの街全体が音楽一色に染まるのも、ナムショーのもう1つの魅力だ。
佐藤さんが驚いたのは、旧知のドラム工房の職人が「トランプに期待している」と話したことだ。外国製の安い楽器に関税がかかれば、価格ではなく品質の勝負に立ち戻れるからだ。「景気がいいアメリカは、ここじゃない」という職人の言葉に、トランプの人気が本物であることを思い知らされた。
国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。