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体温を届ける仕事をしよう【365文字の編集長コラム】
- 2018/11/10
自動車事故のように、銃乱射事件を消費してしまう日が来やしないかと不安になる。ロサンゼルスのバーで元海兵隊員の男が銃を乱射し、12人の命が奪われたというニュースだ。帰り支度を済ませて手に取ったスマホに速報が表示されたが、またか、以外の言葉が浮かぶことはなく、その場ですぐに画面を閉じた▼世界中から手のひらに情報が届く。凄惨な事件に思考をめぐらせようとしていたら、すぐに次の事件がやってくる。奪われた命の数にしか関心が向かわない日も、少なからずあるのだ▼産休中の社員が、首が座ったばかりの子を連れて会社を訪ねて来たのは、同じ日の朝のこと。幼子がしゃくりあげた泣き声が、バタバタと慌ただしい事務所の時間を止め、晴れやかなニュースとして胸のあたりに残った。体温を届ける仕事をしようと思ったはずだったが、危ない、もう少しで忘れるところだった。
国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
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2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。