中国ブースに勢いなく 一般来場者の増加嘆く声も【海外展示会レポート】

NAMM Show California
会期:2019年1月24日(木)~27日(日)
会場:Anaheim Convention Center
主催:NAMM(the National Association of Music Merchants)

NAMM Show California

 楽器の世界的な展示会「NAMM Show」では、昨年と変わらず、中国楽器メーカーの出展ブースが多く並んだ。開催前、米中の経済対立から出展企業の減少を懸念する声もあったが、大きな変化はなかった。

 中国企業のブースが集まる一角では、ブースに足を止める人は少なかった。だが、これも今年に限った話ではない。ただ、今年はブースで待機する中国人スタッフに勢いがなかった。毎年参加する楽器輸入業の佐藤博之さんは「例年、中国の出展企業は派手にノベルティーを配りブース集客に積極的な企業が多いが、今年は座ったままで、申し込んだからとりあえず来た、という雰囲気がまん延していた」と話した。来場者でも、昨年は集団で動く中国人が目立ったが、今年はあまり見かけなかった。「中国人の来場者は減ったように感じた」(佐藤さん)


▲中国企業の出展ブースが並ぶ一角。来場者が少ないのは例年通りだが、出展企業のスタッフに勢いがなかった

 出展企業の大きな変化は大手ギターメーカー、ギブソンの復活だ。昨年はブースがないことが来場者の話題となり、その後5月に経営破綻した。だが、今年はブースに職人が立ち、丁寧な手作りと商品へのこだわりをアピールした。「破綻前は品質の劣化が著しく、ブランド価値を大きく下げていたことが業界関係者の共通認識だった。イメージの払拭(ふっしょく)に力を注いでいた」(佐藤さん)

 出展企業からは、「商売になりにくい」という声が昨年よりも多く聞こえた。出展ブースを縮小し、会場の近くで音楽スタジオを借りる企業が2~3年前から増えており、今年はその流れが一層顕著になったという。来場者にバイヤーではない一般の音楽ファンが多くなったことが、出展者の不満につながっていた。主催のNAMMは楽器産業に属する企業の業界団体で、展示会も本来商談目的のものだが、会場内でミュージシャンのライブも多いことから、近年一般客の入場が増えているという。

 以前は出展することで知名度を上げたり、ブースを出していることがブランド向上につながると考える企業も多かった。だが、商売に結び付かないため、「お祭りに参加するには、金銭的にも心理的にも余裕がないのが実態では」と佐藤さんは感じた。
 指標の上では強い経済が続くアメリカだが、会場では景気の悪さを嘆く企業が多かった。200ドル以下の安価な商品か、10万ドル以上のビンテージ商品しか動かない市場になっているという。

物価上昇も顕著


 佐藤さんも物価の上昇を感じた。毎年食べるコンビニのアイスクリームが、今年は4ドル出さなければ買えなかった。「5年前なら2ドルでお釣りがきた」(佐藤さん)。ホテルの宿泊料も上がり、無料だった駐車場は有料に変わっていた。
 オフィスビルやアパートメントは建築ラッシュだが、「今住んでいるところを出たら、半分の広さか、通勤に倍の時間がかかるようなところにしか住めない」と現地の友人は家賃高騰を嘆いていたそうだ。

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