会場個別の工事費は不明のまま

2020年の東京五輪・パラリンピック開催で東京ビッグサイトをメインプレスセンター(MPC)、国際放送センター(IBC)として使用する問題について、施設の改修工事費用の負担者が不明瞭である現状が続いている。

昨年12月21日に大会組織委員会が提出した開催にかかる予算案では、ビッグサイトの改修工事を含む「仮設会場」の工事費用は全体で2800億円にのぼるとされたが、会場個別の工事費用は明らかにされないままで終わっている。招致活動時には33億円とされていたビッグサイトの工事費用額に変化があったかは不明で、MPC・IBC会場の変更を望む業界関係者からは、解決に向かって進まない現状にとまどいが広がっている。

「結局、組織委員会と都のどちらが責任を持つのか」。ビッグサイトで多数の展示会を開催する主催会社の役員はため息を漏らす。開催にかかる費用の全体像が示される一方で、ビッグサイトの使用に関わる費用は明言されず、メディア会場の見直しを望む業界団体からは不信感が募っている。

大会開催にかかる費用が招致活動時から膨れ上がっている現状を受け、組織委員会と都、政府、国際オリンピック委員会の4者は、競技会場の見直しを検討し続けている。

その一方で、MPC・IBCのメディア会場に関しては招致時から予算額に変更があったかについてはわかっておらず、今後会場の見直しが行われるかも明らかにされていない。
ビッグサイトの使用に関する費用について組織委員会は、「予算案は会場個別に試算して計上したものではないため、ビッグサイトの改修工事にいくらかかるのか、現状では答えかねる」と話しており、会場の再検討については「今は何とも言えない」とだけコメントした。

メディア会場の設置に関する費用が明らかにならない原因は、組織委員会が提出した予算額の算出方法にある。組織委員会が公表した全体予算は、「仮設等」「輸送」「セキュリティ」「テクノロジー」「オペレーション」の5部門にわけて試算を出しており、大会のための施設や設備の整備に関する費用は「仮設等」に含めている。

だが、仮設等の費用の詳細を見てみると、有明体操競技場など仮設の競技場の設置にかかる費用や、競技時に使用する運営用プレハブ・テントなど、競技関連の費用ばかりが列挙されており、メディア会場に関する詳細は含まれていない。
また、大会運営のための通信インフラや情報システムを試算した「テクノロジー」領域を見てみても、メディア会場に関する費用を含むとの文言は見当たらない。

メディア会場の設置に関する費用を巡っては、2012年に東京都と招致委員会が既存のビッグサイトの改修工事に33億円の経費がかかるとの試算を出して以来、具体的な費用の見直しは行われていない。


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国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平

2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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