リノベーション後の運用が重要 大阪発 SEKAI HOTEL ④

 
  • 2018/10/19
▲毎月開催される地域住民向けの説明会は布施でもおこなわれる
地方創生の手段として用いられることが多い、空き家活用による宿泊施設運営だが、他地域に横展開できる事業モデルはほとんどみられない。大阪・西九条で生まれた「セカイホテル」は、今、東大阪市布施地域という2つ目の拠点をオープンし、モデルの移植に挑戦する。

語り手
クジラ(大阪市) 矢野 浩一社長
1983年、九州生まれ。小学校~高校まで栃木県宇都宮市で過ごす。大阪の調理師学校に入学するものの、調理師をあきらめて不動産仲介業に従事。2007年にクジラを設立し、2014年に民泊、旅館業、簡易宿舎の運営を行うSEKAI HOTELを設立。


第4回 地域活性・地方創生は運用が重要

チームには開発のプロ必要

 失敗事例によくみられるのは、実施者が「開発のプロではない」ということです。古民家にDIYやリノベーションを施して活用する企画がよくあります。規模は小さくても、やることはデベロッパーの仕事と一緒です。つまり、企画、広報、マーケティング、ブランディング、不動産、設計、施工、運営、経理、人事、採用、総務などが必要になります。脱サラした人や、学生たちが集まって地方でなにかしようとしているというレベルでは、圧倒的に専任者が足りません。

 開発が絡むと実施者がどれだけ役割を果たさなければならないか、専任者を用意しなければいけないか、ということが大切です。チームに開発のプロが必要になります。

 業界ヒエラルキーもよくみられる障害です。これが、費用を膨れ上がらせます。例えば、昔からある銭湯を残し、それを軸に人を呼び込みたいと考えたとします。銭湯の改修工事とデザインの選定、改修工事をしたあとの運用のブランディング・企画を民間でやろうとしたら、膨大な金額がかかります。下手したら何千万円では足りないかもしれません。

 設計プランの段階で、改修工事以降の企画・運用・ブランディングを考えておかなければならないからです。運用を想定していなければ、必要な建築企画、リノベーションプランが浮かび上がりません。運用から逆算し、建物のつくりに落とし込まれていくのです。つまり、初めから下請けに発注することが決まっているのです。関わる人数が多いため、必要なお金も大きくなります。

成果を出すのは運用してから

 淡路島で廃校となった小学校の建物を再利用した地方創生プロジェクトがありますが、ものすごい費用をかけています。古い建造物は耐震補強までやると膨大なコストがかかります。スポンサー企業が数億を投資しているという話も聞かれますが、そんな企業はめったに地方には存在しません。企画者が、人もお金も大量に動かし地域活性・地方創生していくというのは非現実的だと思えてきます。

 世の中、あまたある地方創生の記事は建物を再生したときのもので、その後の運営、例えばカフェにして人気になった、という話はあまり出ません。それは開発の時点で、運営を含めた本質的な目標から乖離(かいり)し、建物のリノベーションだけにフォーカスしてしまうからでしょう。地域活性・地方創生は運用が重要であり、開発というものを考え直さなければならないと思っています。

「セカイホル」は、ヒエラルキーではなく、組織全体に権限を分散して自走できるようにする組織にしています。外注がさらに外注するリレーション構造を廃してチーム編成することで、「SEKAIHOTEL西九条」は柔軟でコストを下げた開発ができました。


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