負債2兆円からの帰還経営再建完了した老舗

▲昨年11月に苫小牧に提出したIR事業計画は「エコ」をテーマにした。その中で発表された施設のイメージ図

負債2兆円からの帰還経営再建完了した老舗

米国・ラスベガスに本拠地を置くホテルカジノリゾート運営のシーザーズ・エンターテインメントは、世界5カ国で施設を運営しナスダックに上場する業界大手だ。日本でも苫小牧と大阪でIR事業案を提出し、運営権獲得に向けて動いている。一方で、リーマン・ショック後の業績悪化が、同業の中でも深刻で、2015年に負債2兆円を抱え破産再生(日本における民事再生法に相当)を申請した。

昨年10月に再生を完了し、新しい経営陣の発表に合わせ、日本法人代表に就いたウィリアム・シェン氏に話を聞いた。

―リーマン・ショック後、同業各社とも経営が悪化したが、シーザーズの低迷が最も激しかったのはなぜか。

リーマン・ショックの直前、我々の業績は非常に良かった。同業の中でも、債務比率が低く財務状況が良い会社と評価されていた。そのことが、2007年、プライベートエクイティファンドに買収され上場を取り下げることにつながった。好業績が続いていればファンドは再上場した時に大きな利益を得られたが、結果はそうならなかった。我々には大きな債務と金利の返済が残った。だが、既存施設の営業収支が好転するのは早かった。そこはアピールしておきたい。

―同業に対して、シーザーズの特徴は何か。

歴史と多様な事業モデルだ。例えば、ラスベガスではカジノ、エンターテインメント、商業施設、展示場など超大型施設を運営する。アトランティックシティーには東海岸最大のコンベンション施設がある。タホ湖はスキーリゾート、南アフリカの施設は動物保護区の中にある。2005年に、シーザーズとヘラズという2つのカジノリゾートが合併してできたのが、今のシーザーズだ。ヘラズは80年前にネバダ州のリノで創業した。ラスベガスにある旗艦施設「シーザーズ・パレス」は2016年に50周年を迎えた。

―世界のIRとの競争に勝つには、カジノ以外の、MICEやエンターテインメントがポイントになるという意見を聞くが、どう考えるか。

その通りだ。ゲーミングテーブルとマシンが並ぶカジノの風景は世界中どこも変わらない。

―MICE、エンタメ部門では、どのような強みを持つのか。

ウィークデーの利用は法人MICE顧客が中心だ。特にミーティング(M)、褒賞旅行(I)、コンベンション(C)部門は施設数とともに会議を誘致する専門チームを持つ。エンタメではビルボードが発表するチケットセールスのランキングで世界3位にあり、業界ではトップだ。シーザーズの施設で年間50回以上のコンサートを行うミュージシャンとの契約をレジデンシーモデル(常駐型の契約)というが、セリーヌ・ディオンは年間100回以上のステージを7年間行う契約を交わした。1回目は既に満了し、今は2回目の契約に入った。他にもエルトン・ジョン、ジェニファー・ロペス、ブリトニー・スピアーズ、ロッド・スチュアートらもレジデンシーモデルで契約する。世界に46施設7万4000席を保有しており、座席数でもトップだ。

―レジデンシー契約を結ぶミュージシャンは、シーザーズ以外の施設でコンサートを行わないのか。

排他的な契約ではないので、他で行う人もいるが、実質的にシーザーズでしか見ることができないミュージシャンもいる。

―日本ではどのような事業を想定するのか。

あらゆる都市との可能性を探っている。大阪、横浜、苫小牧だけではない。都市に合わせた事業モデルを持つことが強みだ。これまでも長期的な視点から、各地でカジノリゾートを運営してきた。日本でも、日本らしいIRにするために複数の日本企業と共同で運営に当たる。我々は1989年から責任あるゲーミングを掲げている。そのための3つの柱が、従業員のキャリアパス、訪問客への安心のサービス、地域への雇用の提供だ。今、4つ目の柱として持続可能な成長をかなえる環境対策を加えた。言うだけなら誰でもできるが、我々は実践してきた。日本でもこれらの経験を生かす。


国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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