▲東京ゲームショウ2017の目玉となったeスポーツ。特設ステージも設けられ、8つの大会が開かれた

業界外への認知に高い壁

(一社)コンピュータエンターテインメント協会(CESA・東京都新宿区)は21~24日、「東京ゲームショウ2017」を開催した。有名タイトルが話題を集めるほか、目玉とする「eスポーツ」の大会などが会場を盛り上げた。だが、世界での過熱ぶりに比べると勢いはゆるやかで、一般への普及は遠い。課題はゲームをしない業界外の大衆への認知だ。

「eスポーツを全世界で楽しめる機会をつくりたい」。21日の開会式で、CESAの岡村秀樹会長は力を込める。昨年はVR(仮想現実)で過去最多の来場者数を記録。今年の目玉は対戦ゲームをスポーツ競技として観覧する「eスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)」で、特設ステージで全8種の大会を開催した。

eスポーツは海外で急激な成長を遂げている。主催者はスポーツ施設を借り切って有料で来場者を募り、グッズ販売やテレビ放映で収益を上げる。プレイヤーは企業をスポンサーにつけ、「プロゲーマー」として各国で開かれる大会へと参加する。米国の調査会社newzoo社によると、こうしたeスポーツ市場は年々拡大を続けており、2016年は4億9300万ドル(前年比51.7%増)に到達。20年には14億8800万ドルにのぼるとみられている。

日本も近年になって急速にeスポーツ普及に向けた動きが加速している。19日には、CESAと日本オンラインゲーム協会、日本eスポーツ協会など関連5団体が、新たなeスポーツ団体の新設を発表。プロライセンスの発行なども検討しているといい、日本におけるeスポーツの普及・発展に向けて団結して取り組むことを表明した。

また、21日にはゲーム開発のJPPVR(東京都中央区)が、VRを活用したアーケード筐体(きょうたい)をアジア3000店舗に展開する中国企業と協力し、2018年内に日本で新たなeスポーツ大会を開催することを発表した。中国企業側が1200万人のユーザーアカウントを保持していることから、大規模イベントになることを強調した。同日におこなった記者会見ではエイチ・アイ・エスの澤田秀雄会長もビデオメッセージで「VRスポーツは将来性があるプロジェクトとして賛同している。JPPVR社との協業も検討中」とし、賛同を示した。

▲会場内で開かれたeスポーツの大会。ネット配信もされ、多数の人が視聴した

しかし、日本での普及はいまひとつだ。今月16~17日には日本最大級となる優勝賞金500万円を懸けた大会「GALLERIA GAMEMASTER CUP」が開催。会場には多数のファンが来場したものの、一般のメディアにはほとんど取り上げられずに終わった。大衆への認知は広がっていない。

eスポーツでも使用されるゲーム作品を開発しているコナミは「ネット配信などで業界内の熱は高い。今後さらに広げるには、これまでゲームをプレイしたことのない、業界外の人を巻き込めるようになるかが、今後の鍵」と話す。その一方で、ゲーム開発会社のエピック・ゲームス・ジャパンの河﨑高之氏は「野球やサッカーは、観覧者が実際にプレイをしたことがなくても楽しめる。ルールを知らずに楽しんでいる人もいる。だが、ゲームはそうはならない。将棋のように、ルールを理解し、実際に指す人じゃないと楽しさが伝わらない。そうした意味で、『スポーツ』というジャンルで大衆に広げるには、時間がかかるのではないか」と、日本でのeスポーツの普及に懸念を示している。


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国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平

2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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