▲色とりどりの熱気球が飛ぶさまを見に、多くの人が訪れる

会期中は臨時駅を設置経済効果は90億円超

昨年10月28日~11月6日の10日間、佐賀市の嘉瀬川河川敷で開かれた「2016佐賀熱気球世界選手権」が、(一社)日本イベント産業振興協会(東京都千代田区)が実施する「日本イベントアワード」の優秀賞に選考された。愛好家が集まって始まった小さな大会は、今や地域を巻き込む一大観光イベントへと成長し、国内外から130万人が参加するまでになっている。

朝7時。周囲に田畑が広がるのどかな嘉瀬川が、国内外からの来場者で埋め尽くされる。会期中はJR長崎本線に臨時駅「バルーンさが」が設けられ、2駅先の佐賀駅からひっきりなしに来場者を運ぶ。毎年10~11月に開かれる「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」は、地域全体に活気を吹き込むイベントだ。

国内外から130万人が参加

同イベントは「パシフィックカップ」や「熱気球日本選手権」などの複数の熱気球大会を実施するものだ。熱気球の愛好家たちが集まって1980年に大会を開いたのがはじまりで、当初の参加機数はわずか14機。今では約110機が参加し、うち30機程度が海外選手だ。業界では国際的なイベントとして周知されており、これまで3回にわたって国際航空連盟が実施する世界選手権も開かれている。3度目となる昨年開催時には130万人が参加し、経済効果は90億円を超えると試算されている。

大会では熱気球の飛行技術を競う。気球には浮揚して上昇・下降の操作する機能はあるが、水平方向に推進する機能はない。風を読み、目的地に向かう飛行技術を競い合う。大会がはじまると数十機の熱気球が一斉に飛び立ち、風に流されていく。その風景が子供から高齢者まで幅広い層から人気を博し、まるで観光イベントのように多数の人が集まる。

▲子供にも人気で、ファミリーでの来場も多いという

 

多数の人を巻き込む影響力から、行政機関も地域活性化のために支援を行う。85年からは市や県が後援し、イベントのPRや観客・交通対策などに携わるようになった。

イベントが大きくなるにつれ、大手企業も協賛するようになった。今では本田技研やパイオニア、伊藤園、スルガ銀行など、多様な企業がスポンサーとして付いている。ピーク時には協賛・広告収入は9000万円にも上ったという。今では佐賀市という地域全体が、熱気球のまちとして染まった。地元企業の中には熱気球を所有し、多くの社員が部活動として取り組んでいる。そうした動きは電力会社や金融機関、民間企業のほか、公共団体にまで及んでいるという。

組織委員会の事務局長を務める堤正之さんは「熱気球という文化が地域に根付いているので、大会を開くとすぐに地元の企業など50機以上の参加が決まる。他国の大会では参加機数が30機ほどであることも少なくない。こうした環境から、世界的にも熱気球の盛んな地域として知れ渡るようになった」と語る。

日の出とともに始まる同大会は、日の入りとともに競技を終える。空中に舞う色とりどりの熱気球は、地域住民の温かな想いを受け、今年も高く飛び立つ。


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国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平

2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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