悲痛な訴え、都に届かず ②~シリーズ五輪の影~

▲主催者や支援会社など多数の参加者で会場は埋め尽くされた

1兆円の損失、解決見えないまま

ビッグサイトで展示会が利用できなくなることで深刻な打撃を受けるのは、主催者であり、支援会社であり、出展する全国の中小企業だ。日本展示会協会がまとめた試算によると、ビッグサイトの展示面積が7カ月間にわたって4分の1に縮小した場合、例年展示会へ出展している中小企業5万社のうち3万8000社が出展できなくなるという。これにより消滅する中小企業の売り上げは約1兆2000億円。出展企業の95%は十分な販売網を持たない中小企業であるため、倒産の危機にひんする企業もあるという。

昨年10月にビッグサイトで開催された「第29回国際メガネ展」に出展した名古屋眼鏡(名古屋市)の小林成年社長は「第1回の開催から出展している。もしビッグサイトの展示会での営業機会がなくなれば、年間20~30%の売り上げが減少すると考えられる」と話す。

五輪・パラリンピックの影響を受ける展示場はビッグサイトだけではない。同会場と並んで日本最大級の展示面積を有する幕張メッセ(千葉市)は、レスリングとフェンシング、テコンドーの競技会場として使用されることから、6カ月間の利用制約が生ずる見通しとなっている。両会場で開催される大規模展示会には海外からの出展者・来場者も多数いることから、海外企業との取引にも大きな影響をもたらすことになりそうだ。

こうした事態を好機と捉える者もいる。展示会の誘致を狙う地方展示会場だ。愛知県は19年秋にも中部国際空港付近に展示面積約6万㎡の大規模展示場を開業する。群馬県も20年夏までに高崎市に1万㎡の展示場をオープンし、国際会議や展示会の誘致を行うという。

だが、首都圏で展示会を開催する主催者は「展示会は人が集まるかが勝負。交通アクセスなどの観点から地方会場での開催は集客が難しいと考える主催者は多いだろう」と話しており、ビッグサイトを巡る制約を変えない限りは問題の根本的解決には至らなそうだ。


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国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平

2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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