地方自治体の思惑 地方が狙う「アニメで町おこし」

▲アニメファンが一堂に集うイベントで、会場には多数の人が押し寄せる

3月23日(木)~26日(日)に東京ビッグサイトで開催される『AnimeJapan2017(アニメジャパン)』(主催:一般社団法人アニメジャパン)が、地方自治体などをターゲットにしたビジネスエリアの強化を図っている。地元に観光客を呼び寄せたい自治体が、アニメコンテンツとコラボして集客を図ろうとしているのだという。

ほかにも、カード会社や商業施設など、アニメ産業と直接の関係がない企業の出展が、ここ数年で増えている。アニメ制作会社や広告代理店など、一部の関連会社のみに閉ざされてきたアニメ業界が、いま広く開かれようとしている。

東京ビッグサイトで開催される『AnimeJapan2017(アニメジャパン)』

アニメジャパンは、アニメコンテンツのPRと交流を促進する展示会だ。2002年に『新世紀東京国際アニメフェア』として初開催され、その後名前などを変えながら毎年開催されてきた。

来場者のほとんどがアニメの視聴者である一般人だ。昨年開催時は総数13万5323人のうち、ビジネスエリアの来場者は3309人。出展ブースの広さも、一般向けエリアがビッグサイト東棟全ホールを占めるのに対し、ビジネスエリアは展示棟の一部のみ。

これまでビジネスエリアの来場者はアニメコンテンツを海外に輸出するバイヤーが多かったが、近年になって国内の企業や地方自治体が増えだしているという。

アニメジャパンの運営事務局を務める、ソニー・ミュージックコミュニケーションズ(東京都新宿区)の椎根剛氏は「近年、アニメの舞台となった地域にファンが殺到する『聖地巡礼』という行為が活発に行われており、アニメを起点として地方に人が集まる流れが定着しつつある。地元に観光資源がない地方自治体でも人を呼び込むことができるので、観光事業に携わる関係者が地元とのコラボの種を求めて、展示会に来るようになっている」と話す。

不動産情報のアットホーム(東京都新宿区)の調査によると、全国の20~60歳代の3割が実際に聖地巡礼をしたことがあると回答している。こうした人の動きに合わせて、独自の取り組みを始める自治体も現れてきた。

飛騨・大垣・岐阜の3市は、岐阜県内がモデルや舞台となったアニメ映画で観光客の誘致を行う「ぎふアニメ聖地おもてなし連合(仮称)」を、2月上旬に結成する。聖地を紹介するパンフレットを製作して配布するほか、各自治体で観光客の行動パターンを調査し共有するなどして、地域全体での観光客受け入れ強化につなげる。

3市は昨年公開されたアニメ映画と関わりが深い。興行収入232億円を突破した『君の名は。』では飛騨市の駅や図書館、バス停などがモデルとなるほか、大垣市出身の大今良時さん原作の『聲(こえ)の形』では大垣駅前や公園などが作品内でリアルに描写されていた。こうした流れを地元に引き込もうと、業界関係者との出会いを求めて集まる場が、アニメジャパンとなっているようだ。


▲「アニメジャパン2016」のビジネスブースの様子

ヒット後では遅い制作時に関係づくり

こうした動きを業界として受け入れるため、アニメジャパンは昨年から、異業種とアニメ産業をマッチングさせる特設コーナー『アニメビジネスコンシェルジュ』を設置した。アニメ業界の団体である(一社)日本動画協会(東京都千代田区)が窓口となり、アニメ業界の成り立ちや関連企業との橋渡しを行っている。こうしたコーナーを設置する背景には、アニメコンテンツとの大規模なコラボを生むために必要となる業界特有の構造がある。

椎根氏によると「どんなにヒットしたアニメでも、旬を過ぎてしまうとファンも離れてしまう。近年は、ヒットコンテンツと地元企業がコラボして関連グッズを製作・販売することで地域活性につなげるといったことも多いが、こうした企画を形にするには最低でも1年は必要。だが、ヒットしてから1年後にグッズを作っても、すでにファンは離れている」という。こうした問題を解決するには、アニメの制作時点でコラボを決めることが重要となる。

通常、新規でアニメコンテンツを制作する場合、関連企業がチームとなって『製作委員会』をつくり、共同で作品作りを行う。製作委員会のメンバーは、アニメの制作会社やDVD・ブルーレイディスクの販売会社、テレビ局や音楽機械者、広告代理店など。関連グッズの制作会社も同委員会に入り、コンテンツの制作中に商品づくりを行うことで、配信と同時期に売り出すことが可能となる。

「こうしたアニメ制作の実情を知らないので、まずはそれを伝えていくことが重要だと考えている。業界としてもコンテンツを外に広げていくことで活性すると考えているので、今後も自治体や業界外の企業とのコラボには力を入れていきたい」(椎根氏)

地方創生を狙う自治体の中には、人を呼び込む観光資源の不足に悩む声も多い。そうした悩みの解決策として、アニメ産業とのコラボは、今後も広がっていくかもしれない。


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国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平

2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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