経済効果失う五輪に意味はあるのか~シリーズ五輪の影①~

「展示会場を奪ってまで五輪を開催する意味はあるのか」。ビッグサイトをメディア会場として20カ月間使用する問題を受け、展示会の出展者たちが怒りの声を上げている。いち国民として五輪開催を応援したい気持ちとは裏腹に、業績悪化という現実を直面する彼らは、口をそろえて「この苦しみを、小池百合子都知事に伝えたい」と話している。

展示会の代わりはない

「豊洲とかにメディア会場を作ってもらうことはできないんですかね」と、ワッティー(東京都品川区)の結城二郎専務はこぼす。同社では年2回、新規顧客獲得のために展示会に出展している。同社は生産工場や研究所で使用されるさまざまな機器に用いるヒータを製造するメーカーだ。多種多様な企業が顧客となるため、多業種のビジネスマンが集まる展示会は、うってつけの手段だ。

18~20日にビッグサイトで開かれた『EV・HEV駆動システム技術展』に出展した際には、3日間で約300枚の名刺を集めた。出展予算は300万円。換算すると1枚1万円という高額名刺だが、企業の技術者の名刺となると、同社にとっては十分な価値がある。「実際に取引が発生するのは、このうち10名くらい。打率は高くないですが、数千万円単位の大型取引に発展する可能性もある」と結城専務は語る。

五輪開催時には新聞広告でPRを図る予定だが「展示会は技術者と会える貴重な場だから、代わりにはならないんだけど」とため息を漏らす。


▲ワッティー(東京都品川区)結城二郎専務


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国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平

2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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