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- 下水道展ドローンやロボット技術並ぶ
▲(公社)日本下水道協会(東京都千代田区)武田裕一氏(43)
人手と予算不足への対応急務
下水道に関わる企業が出展する「下水道展」が、8月1~4日、東京ビッグサイトの東4~6ホールを使用して開催された。下水道を管理する全国の地方自治体から担当者が来場するこの展示会には、下水道敷設に必要な設計、工事技術、管などの資材会社が出展する。今年は350社1102ブースが並んだ。
近年は、維持管理や更新工事に関わる企業の出展が増えている。下水道の普及率が全国で高まってきたことと、敷設から30年以上経過した下水道が増加し、更新需要が高まってきたからだ。特に今年は、古い管の中にロボットやドローンを飛ばして、人が入りにくい部分を調査する技術を展示する企業をいくつか見ることができた。
老朽化による事故も
更新時期を迎えながらも手付かずのまま放置された下水道設備は少なくないようだ。展示会を主催する(公社)日本下水道協会(東京都千代田区)の武田裕一氏によると、古くなった下水道管が崩れて地面が陥没したり、マンホールのふたの表面が磨耗して車がスリップしたというような事故が、毎年数件報告されているという。だが、自治体の担当部署は人員が削減され、予算も確保できないことから手が回っていないのが実情だ。
また、工事の時期を記した台帳が管理されていないことも、工事の進行を遅らせている。多くの自治体では、どの管がいつ工事されたのかがわからない状況にあるという。
下水道事業をめぐる、もう一つの課題が、会計制度の変更だ。民間企業と同じ会計制度を公営企業に適用する取り組みが、2015年度から総務省の主導で行われており、特に下水道事業は20年度までの5年間で適用を拡大する重点事業として位置付けられているのだ。会場では自治体下水道事業をめぐるこれらの状況に対応する商品が並んだ。
理系中心 学生350人
下水道協会は、今年初めて学生に向けた企画として、インターンシップと業界で働く人によるキャリア形成に関するセミナーを開催した。出展者の一部から強い要望があり、業界として学生への認知度を高めるために行った。学研アソシエの協力のもと、理系の学生を中心に350人が集まった。そのうち、3割程度は女性学生だった。
国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。