【売れる市場を探せ】医療展にオフィス用プリンター出展

▲毎年出展を続けているブラザー販売。医療現場でのシェアは約3割にのぼる

最先端の医療技術やサービスが出展する医療従事者のための展示会に、プリンター・複合機器メーカーが相次いで出展している。デジタル化の進行により多くの業界で印刷需要が減少している中で、医療機関では今なお「紙」であることが求められ続けている。時代の流れに逆らうわずかな市場を狙い、各社の売り込み合戦が激化の一途をたどっている。

底堅い需要見込める〝穴場〟市場

エプソン販売(東京都新宿区)は12~14日、東京ビッグサイトで開催された医療従事者向けの展示会「国際モダンホスピタルショウ2017」に出展した。同展に出展するのは数年前から続いている。「医療機関に直接売り込める貴重な場」と担当者は語る。

同展は毎年約8万人の医療関係者が来場するイベントだ。全国の医療機関の従事者が一堂に会する展示会としては日本最大級。他の出展者は医療システムや医用画像など業界専門の商品やサービスを扱う企業ばかりだ。エプソンが出品したのは、医療機関内で利用されているプリンターだ。医療機関用の特別な機能が備わっているわけではなく、一般のオフィスに導入されているものと同様の機種だという。

同じくモダンホスピタルショウに出展したのは、プリンターメーカーのブラザー販売(東京都中央区)だ。出品したのはエプソンと同様、オフィス用プリンター。同社は3年連続で同展に出展しているという。

同社の齋藤直貴マネジャーは「医療機関が利用しやすいようにセット販売などは実施しているが、商品自体は普通のオフィス用プリンター。医療機関では患者に対してカルテを印刷するなど、今でも紙が必需品だ。電子化が進む中で、こうした底堅い需要が見込める市場は、業界を見渡しても貴重だ」と話す。

同社は医療現場におけるプリンターのシェアの約3割を占めている(メディキャスト社・エグゼメディカル社共同調査・2016年11月に実施)。同社にとって貴重な新規顧客の開拓場所であり、同展で知り合った医療従事者から契約につながった案件も少なくないという。

エプソンもプリンターを出品

齋藤マネジャーは「業界全体のシェアで言えば、リコーやエプソンなど大手が上位を占める。しかし、医業分野ではまだまだ各社の売り込みが続いており、今後も新規顧客を見込めると思う。こうした業界ごとの需要を探れるのも、展示会ならではの収穫だ」と語る。


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国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平

2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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