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元女子アナらが「地元密着型観光番組」
- 2017/7/25
▲動画は新宿にあるスタジオで撮影。各地のアナウンサーと中継を結び、地域の観光情報を発信する
自治体と協業狙う「インバウンド対策に」
「なして山形人は、なんばでもつったぐすんのば好きなんだべね~」。元NHK山形のアナウンサー、菊池喜美子さんが語りかける。6月1日に開局したインターネットテレビ「JKNTV」での一幕だ。標準語で言えば「なんで山形の人は、何でも冷たくするのが好きなんでしょうね」といったところか。
雪国で知られる山形だが、1933年から74年間猛暑日が続いた日本記録を持つほど、夏は気温が高い。そのせいもあってか、「冷やしラーメン」や「冷やしシャンプー」「冷たい肉そば」など、「冷」に関わるさまざまな商品が生まれてきたという。
同サイトでは、こうした地元独自の文化や風土をネット動画で紹介している。全国のテレビ局に勤めていた元女子アナウンサーらが出演し、地域の観光情報を発信する。
サイトを運営しているのは、2005年に設立した局アナnet(東京都新宿区)だ。同社には元局アナ250名が所属しており、それぞれが取材した地元の郷土料理や宿泊場所、特産品などの観光情報をニュース番組仕立ての動画にして配信している。
同社の小田恵子社長も、岡山の放送局に勤めた元アナウンサーだ。同局時代にはアナウンサーとして出演する傍ら、ディレクターとして番組制作に取り組んでいた。
「東京だとアナウンサーはただの出演者ですが、地方局では、アナウンサー自ら撮影現場に三脚を担いで手伝ったり、映像を編集したり、ディレクターとしての仕事に携わっている人が多い。そうした経験から、元局アナたちが番組制作のスキルを生かし、『自分たちが作りたい番組を作る』事業をはじめようと思ったのが、創業のきっかけ」と小田社長は語る。
同サイトで配信されている番組は、観光に関する情報を伝えるものがほとんどだ。企業から商品のプロモーション用番組の制作を依頼されることもあるが、現状ではスポンサーの付いていない番組も多い。「地元のことを全国、海外の人に知ってもらい、観光に来てもらいたい」と番組に出演する局アナが多いと小田社長は語る。
「出演している人は、今もフリーとして地元のテレビ番組に出ている。しかし、そうした番組は地元でしか配信されず、見られない。ネット配信で地元以外の人に見てもらうことで、地域の観光振興の一助となりたいと考える人は多い」
現在はニュージーランドのテレビ局SAKURA TELEVISIONでも動画を配信しているという。今年秋にはオーストラリアのテレビでも配信を予定しているといい、インバウンド向けサービスとして企業や自治体に事業を展開していく予定だ。
「当社に所属している元局アナは30代後半の人が多い。旅行やグルメが好きで、地元の情報に詳しく、それでいてプロのアナウンサーとして情報の発信力も高い。こうした特徴を生かして、各自治体と共同で番組を制作し、観光客の誘致に向けた情報発信をしていきたい」
国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平
2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。