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成長産業 メキシコセミナール第3回
- 2017/7/10
- メキシコセミナール
軸は自動車 航空産業も10年で社数4.6倍に
メキシコで今後の成長が期待される産業は、やはり自動車だ。メキシコと同じく多くの日系自動車メーカーが集積する中国には約2万社、タイには約7000社の日系企業が進出している。メキシコでも、2016年に1000社の日系企業が進出したとはいえ、自動車産業の安定にはメンテナンスや飲食などサービス業を含めたより多くの日系自動車関連メーカーの進出が期待されている。
航空宇宙産業も成長を期待される産業のひとつだ。2014年、航空宇宙産業の輸出は430億ドルに上った。進出企業も増えており、05年には61社だったが、現在は280社以上に増えている。
メキシコにはボンバルディアやゼネラル・エレクトリックが既に進出している。日本では、昨年参加した国際航空宇宙展では、FEMIA(メキシコ航空宇宙産業連盟)がセミナーを行い、多くの日本人が参加した。宇宙開発分野においては、14年に日本電気がAEM(メキシコ宇宙庁)との間で衛星開発に関する覚書を取り交わした。今後、衛星通信の強化が期待されている。
メキシコはエネルギー改革を進めている。電力料金を下げるための投資を促進するとともに、再生可能エネルギーを推進している。14年の安倍首相のメキシコ訪問の際にはNacional Financiera(メキシコ産業金融公社)と覚書を取り交わした。
日本とメキシコの関係では、05年に発行されたEPA(経済連携協定)により経済的にもより強固な関係が築かれている。チリ・コロンビア・ペルー・メキシコが参加している太平洋同盟には日本もオブザーバー国として参加しており、参加している3カ国(チリ・ペルー・メキシコ)とはすでにEPAを結んでおり、コロンビアとも交渉をしている。
遠いように思える日本とメキシコだが、太平洋をあいだに持つ隣国である。長い歴史とともに関係が深まりつつある今、メキシコにとってはアジアへの玄関口、日本にとっては北米や中南米への入り口としても両国の役割が今後も広がっていくことを期待している。
メキシコのモンテレイ工科大学在学中の1998年、上智大学比較文化学部の交換留学生として来日。7年間日本の企業や政府機関に勤務。2006年、The Berlin School of Economics(独)にて経営学修士(MBA)を取得。07年1月から現職。