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長谷川遼平のイベント取材日記(14)
- 2017/5/25
信ずるに足らぬ言葉
かつての政界では「善処します」という言葉がよく使われた。前向きな姿勢のように見せて、実は何もしていない。そんなときに使うのに便利な言葉だ。
1969年の日米首脳会談。日米繊維摩擦で揺れ動く中で、佐藤栄作首相がこの言葉を使った。その時の通訳が「アイ・ウィル・ドゥ・マイ・ベスト」と訳したことから、ニクソン大統領は輸出規制の確約を受けたと誤解した。どうとでも受け取れる、曖昧な言葉として定着するようになったのは、こうした誤訳からだった。
最近は「善処します」の代わりに、「努力する」というらしい。(一社)日本展示会協会(東京都千代田区)が今年1月に8万通の署名を提出した際、東京都産業労働局商工部の野間達也部長はこう答えた。「皆様の思いを確かにお受けいたしました」「ひとつでも多くの展示会が開催できるよう、引き続き努力していく」
その答えが、先日のビッグサイトの説明会だというのだから、一縷(いちる)の望みをかけていた展示会関係者も報われない。揚げ句、ビッグサイトも「文句ばかり言うな」とピシャリ。業界事情を知りもせず、文句が出るような状況をつくっておいて、どの口が言うのか。
国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平
2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。