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セガサミー 韓国でIR開業②
- 2017/5/25
- 韓国
▲小峰広将広報部長(40)は「里見会長は20年前から構想していたようだ」と話す
現地企業との合弁運営 日本から社員35人派遣
開業初日の4月20日、セレモニーの場であいさつに立ったセガサミーの里見治会長は「世界中の皆様に、この類いまれなる上質なエンターテインメント空間をご堪能いただきたい」と、施設の出来栄えに胸を張った。同社がIR事業に本格的に取り組んだのは、合弁会社を設立した2012年ころからだが、「里見会長自身は20年以上前から構想を描いていたようだ」と小峰広将広報部長は話す。
パチンコ、スロット機器の製造販売により一代で大企業を築いた里見会長だが、IR事業で目指すのは機器販売ではなく、施設運営そのものだ。20年に向けた経営計画ではリゾート事業を3本目の柱に位置付けることをうたう。
現時点の売り上げ構成は、年商3479億円(16年3月期)のうち、パチンコ・パチスロ機器が4割弱、元のセガ領域に当たるスマホや家庭用ゲームをはじめとするエンターテインメントコンテンツ事業が6割弱を占め、リゾートは12年に買収した宮崎のフェニックス・シーガイアによる4・7%にとどまる。言い換えれば、パラダイスシティやその先に見据える国内でのIR事業を、成長の柱にしようとする期待の大きさが見えてくる。
新たに従業員を雇うのではなく、国内に勤務していた既存の社員から35人を現地に送り込んだところからも、同社の本気度がうかがえる。現地に赴任した社員たちは、カジノ、ホテル、コンベンションなどそれぞれの部門に配属され実務に当たっているという。彼らの中にIRでの勤務経験のある人は、一人もいないということだ。
参考はシンガポール
IR事業では、「シンガポールが一つの参考モデル」と小峰氏は話す。シンガポールには、「リゾートワールドセントーサ(RWS)」と「マリーナベイサンズ(MBS)」というIRがあり、それぞれ異なる客層を狙った特色のある施設を展開する。「ユニバーサルスタジオシンガポール」を有するRWSはセントーサ島でレジャー・ファミリー客を狙い、3棟の高層ビルの屋上に船のように横たわる建築が目を引くMBSは、本島の立地を生かしMICE客を狙った都市型IRだ。
日本での構想が本格化するのは、あくまで実施法が成立した後になるが、同社が目指すのは事業規模が大きい大都市だ。だが、その場合も地域の特色を生かした計画になるという。
国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。