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AI、笑いを学ぶ
- 2017/10/26
- 東京ゲームショウ(TGS)
▲日本大学(東京都世田谷区)文理学 情報科学科宮田章裕准教授(36)
人を笑わすため、ボケを極める人工知能(AI)の研究が進んでいる。日本大学の宮田章裕准教授は、話しかけられた言葉に対してボケて返すAIを開発する。たとえば、「埋蔵金について教えて」と尋ねると、「え、大胸筋」と答える。意味が違うが、音が似ている言葉で質問に答えることができる。聞き間違いが生む笑いの構図を科学的に分析し、システムとして実装させているのだ。
語彙力のデータベースになるのはインターネットの百科事典サイト「ウィキペディア」の日本語版だ。ここに掲載されるすべての単語から最適解となる言葉を選ぶため数百万の単語を駆使する。笑いの能力を高めるため、プロの芸人の笑いの構図も研究している。このAIをシャープが開発したコミュケーションロボット「ロボホン」に実装し東京ゲームショウで初披露した。
AIには感情がないと思われているので、キャラクターを設定し人間味を持たせたいと考えたのが、宮田氏の研究の原点だ。今、力を注ぐのは、笑いの方向性に複数のパターンを作り、いくつかの個性を作り出すことだという。たとえば、ミンミンゼミについて質問されたとき、侍キャラは「新撰組」と答え、歴史キャラは「遣唐使」、恋愛キャラは「倦怠期」と答えるといった具合だ。
宮田氏は日常生活にAIが浸透すれば、会話力として笑いの能力が求められると考える。AIが人間の話し相手となるということだ。そのため、次に見据えるのは、会話の流れから空気を読む能力だ。「相手が真剣な話をしているときは、あえてボケない。そこまでは行きたい」(宮田氏)
初披露の場となったゲームショウでは、ゲームに登場するキャラクターの開発についてソフト開発会社から相談を受けた。介護現場などでも話し相手として早期のサービス提供を目指す。
国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。