▲さいたまスポーツコミッションの金子芳久氏。さいたま市では年間40件のスポーツイベントが実施されている

スポーツ大会を開催して観光客を集める「スポーツツーリズム」に注力する地方自治体が増加している。7月25~27日に東京ビッグサイトで開催されたスポーツ・健康産業の総合展示会「SPORTEC(スポルテック)2017」では、スポーツツーリズムに特化した「スポーツイベントEXPO」コーナーが設置され、大会の誘致を狙う自治体などが出展。地元の運動施設や交通の利便性などをPRした。

国際大会開催で海外来場者招く

「スポーツ大会や合宿を誘致することで、地域の活性化につなげようとする自治体の加盟が増えている」

そう語るのは、(一社)日本スポーツツーリズム推進機構(以下、JSTA・東京都港区)の井塚弥生氏だ。同社は観光庁が取りまとめた「スポーツツーリズム推進基本方針」の実施機関として2012年4月に設立。スポーツ大会やイベントの運営者・企画者と自治体をマッチングするなどの支援を行っており、現在43自治体が加盟しているという。

「山があればボルダリング、川ならカヌー、海ではトライアスロンといったように、その地域にある自然を生かしたスポーツイベントを開くことができる。これといった観光資源がない地域でも、その土地ならではの自然を活用したスポーツイベントを開くことで、競技者などを集めることができる」と井塚氏は語る。

新潟市 国際野球大会を誘致

実際に国際大会の誘致に成功する自治体も多い。新潟市は昨年7月、(公財)全日本大学野球連盟(東京都渋谷区)が主催する「日米大学野球選手権大会」の第1・2戦を、市内の球場「HARD OFF ECOスタジアム新潟」に誘致。国内外から選手や応援団など多数の参加者を集めた。

新潟市は13年10月に市や地元企業などによるスポーツ振興支援団体「新潟市文化・スポーツコミッション」(新潟市)を組織し、大会の誘致支援やPR活動を開始した。同団体の星枝里氏は「新潟市は、中心部にアイスリンク場やサッカースタジアム、野球場など複数の大規模スポーツ施設が集中しているという特徴がある。また、新幹線や空港など交通の利便性も高く、宿泊施設も多数あることに着目する主催団体は多い」と話す。

▲新潟市文化・スポーツコミッショ( ン新潟市)星枝里氏

さいたま市 年間40件を開催

年間約40件のスポーツ大会の誘致に成功しているのが、さいたま市だ。同市は11年10月に全国初のスポーツコミッション「さいたまスポーツコミッション」(さいたま市)を結成し、いち早くスポーツによる地域振興に取り組んできた。

同団体の金子芳久氏は「さいたまスーパーアリーナやさいたまスタジアムなど、市内の各地に体育館や球場などの施設があり、他の自治体よりも数が充実していると思う。大相撲やマラソン大会などが開かれているほか、『インディアカ』(羽根突きのボールを手で打ち合う、バレーボールに似たルールのスポーツ)の国際大会も開かれている。こうした大会には国内外から400名が参加し、市の振興にも高い影響を及ぼしている」と話す。

課題はノウハウ不足

誘致活動に注力する自治体の悩みは、情報不足だ。地元のスポーツ施設を観光に生かしたいと「スポーツ振興課」などの部署を新設する自治体も多いが、具体的に何をすべきかわからない自治体が多いと、井塚氏は語る。「自治体の中で主導的に取り組む人がいないと、箱モノだけ作っておしまいになってしまう危険性もある。自治体からはよく『地元の山間部にサッカー場があるので、合宿の誘致などに活用できないか』といった相談が寄せられる。しかし、交通の便が悪く、宿泊施設もない山間部の運動施設の場合、いくらPRしても使われないことのほうが多い。それならば、山間部という特性を生かしてヒルクライムなど山ならではの競技のイベントを誘致したほうが、結果は出やすい」(井塚氏)

意欲だけが先行して高まる自治体もまだ多い。JSTAでは会員向けセミナーなどで情報発信を行い、自治体の支援を続けていくという。


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国際イベントニュース 編集部 長谷川遼平

2012年入社。賃貸住宅に関する経営情報紙『週刊全国賃貸住宅新聞』編集部主任。起業・独立の専門誌『ビジネスチャンス』にて新市場・ベンチャー企業を担当。民泊やIoTなど、新産業を専門に取材中。

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