会議誘致の都市競争が過熱

20年以上のベテランも

MICEの展示会「国際ミーティングEXPO」が、12月6~7日、パシフィコ横浜で行われた。出展者の大半は市区町村単位の自治体や、施設を管理する公的組織だ。地元に開催を引き込みたい市区町村の誘致合戦が過熱している。

安倍首相が観光立国を掲げてから、MICEという言葉を耳にする機会が増えたが、地方自治体の取り組みは少し前から始まっていた。今回出展した自治体には、早くからMICE誘致に取り組んできたところが多かった。市内に会議場と展示会場を持つ北九州市や広島市は、20年以上の経験を持つ。8年前に「コンベンションビューロー」という誘致活動や会議を開催する時に運営母体となる組織を立ち上げた岡山市の担当者は「この会場の中ではまだ新参者」と話した。

 

決定要素は費用や交通便

誘致合戦の決め手となるのは費用、交通便、宿泊施設の数といった数字の他に、地元の熱意や特性も加味される。5月のG8サミットに合わせて行われた「科学技術大臣G7会合」の誘致に成功した茨城県つくば市の場合、筑波大学を筆頭とする「研究都市」のブランドと、外国人研究者が多く市内で英語対応が行き届いていることが評価されたようだ。 会議運営の経験が長いつくば国際会議場の土岐牧氏は、以前関わったスポーツの国際大会で「大型選手が多いためダブルベッドの数を一定以上用意できること」という条件を与えられたこともある。

岐阜市の場合は交通便を理由に優先順位を下げられてしまいやすい。実際は名古屋から電車18分で着く事ををアピールして、マイナスイメージの払拭に懸命だ。

一方で「交通要因は断り文句。結局は費用」と話す担当者もいた。学術学会の場合は主催者の予算も限られるため、費用が決定要因となることが多いようだ。

 

大学医学部に通う行政担当者たち

そんな中、多くの担当者から聞こえたのは、地元の大学医学部との連携に力を注ぐという声だ。医学系の学会は比較的予算が豊富なため、宿泊施設や地元の飲食・小売業など派生効果が大きいからだ。また、それぞれの学会で力を持つ教授がいれば、地元開催を誘致しやすく、地方都市にもチャンスが十分にある。「医学学会の開催リストを常に確認している」と担当者達は話した。

 

用語解説 MICE(マイス)

地域への集客経済効果が見込まれるイベント事業の総称。企業が行う会議(Meeting)、社員向けに行う研修や報奨旅行(Incentive Travel)、国際機関や学術団体が主催して会議場を使う国際会議や学術会議(Convention)、展示会場を使う見本市や展示会(Exhibition/Event)の頭文字をとっている。


国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎

2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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