第25回 閉店相次ぐアパレル業界代わりに食品販売業が隆盛[今日の中国]

 
  • 2020/8/27
▲アパレルショップが並んでいた場所は閉まったままです

 上海では6月後半から一カ月、日本の梅雨時期のように毎日雨模様が続いています。気温も上がらず、夏風邪が流行っています。日中間を結ぶ飛行機も9月までは週に数便程度しか飛ばないようで、往復20万円を超えるほど高騰していると聞きました。かつての日常に戻るのはいつになるかと気分まで落ち込みがちですが、中国経済は日々刻々と変化を続けています。

 中国で新型コロナによって一番変化したのは、アパレル業界ではないでしょうか。連日の大雨と冷夏の影響で用意した夏物が思うように売れず、昨シーズンの冬物を出している店もあります。加えて、新型コロナの影響で消費意欲は減少。多くの人は最低限の衣服は持っているので、わざわざこの時期に新しい商品を購入する人は少ないようです。日本でもアパレル業界への打撃は大きいと聞きましたが、この影響は世界規模に及ぶものと考えられています。中国では「今年はアパレル業界の再編期になるのではないか」と言われています。

▲飲食店は食料品店に変わりました

 一方で、勢いに乗っているのが食品販売の小売店です。上海では路面店や商業施設内にさまざまな種類の食品販売店がありますが、最近、閉店したアパレル店の後に食品販売店がオープンするのをよく見かけます。特に多いのが、輸入加工食品と生鮮食料品を扱う店です。新型コロナで外食できない代わりに自宅での食事が増え、食料品の需要が高まっているのでしょう。また、飲食店が食料品の販売に切り替えるケースもよく見かけます。もともと飲食店だったわけですから、仕入れた材料を調理して提供するか、そのまま販売するかの違いしかありません。営業許可さえ取得すればすぐに販売店へ転向できるので、昨今の需要を見て「横に習え」感覚で転向しているのでしょう。

 また、中国では先月、一大イベントがありました。アリババに次ぐEC業界第2位の京東商城(JD.com)の「618」セールです。6月?日が同社の創立記念日であることから、毎年この日に大々的なセールが実施されています。新型コロナによる自粛で消費が落ち込んでいた分、このセールで発奮する人も多いのではと予想されていましたが、結果としては、昨年と比較して約?%増となる約4兆600億円の売り上げを達成しました。ちなみに、アリババが運営する「Tmall(天猫)」の同時期の売上高は約?・5兆円。この新型コロナでいかにEC市場が中国経済を後押ししているかを実感させる金額でした。

 倒産が相次ぎ、失業率の増加も問題となっていますが、アリババグループのオンラインモール「タオバオ」では新型コロナ感染拡大期間だけで100万店以上の新規出店があったと言われています。タオバオは個人店舗が多いオンラインモールなので、貧窮した人がタオバオで生計を立てるようになったとも考えられます。そうだとすれば、中国のEC市場は非常に深い位置で経済を支えていると言えるのかもしれません。

狩野浩治氏

1964年福岡県生まれ。バックパッカーとして各国を回った後、国内大手小売り会社に入社し海外事業部に配属。以降33年間、海外生活が続き、8年前から中国で生活する。中国企業の副総経理を務める。


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