主催者が中止・延期を決めるまで

 
  • 2020/4/9

売り上げ喪失、感染拡大リスク、国民感情のはざまで揺れる

 上の表は、4月に開催を予定していた展示会の中で中止や延期となった展示会をまとめたものだ。全ての主催者は自ら予定していた会期に開催しないことを決めた。ぎりぎりまで開催の可能性を探ったが、2月28日の安倍晋三首相によるイベント自粛要請や、3月19日の専門家会議による提言をうけて、開催を断念した主催者が大半だ。

 首相の要請、専門家会議の提言に強制力はなく、中止・延期を決めた主催者は自らの責任において損失を引き受けた。顧客である出展企業との間にも、責任の所在をめぐる利益相反関係を抱えていた。自身による開催中止か、出展企業の判断によるキャンセルかで、出展料金の払い戻しの扱いが変わるからだ。

 この間、国民の主催者に対する視線は、置かれた状況に同情的なものと、感染を拡大する危険性よりも自社の売り上げを優先しているとして批判的なものに二分された。大きな損失を引き受けるか、感染拡大を阻止し国民感情に寄り添うかの選択で主催者は悩んだ。

 感染拡大のリスクを判断することも難しかった。日本における新型コロナウイルスの感染者数、死者数が諸外国に比べて少なく、10日、安倍首相が10日間の自粛延長を要請した際、専門家会議は「感染は一定程度持ちこたえている」という見解も出した。12日、松井大阪市長が花見の自粛を要請しないと発言した頃は、沈静化に向かっているような印象が国民の間に広がった。だが、1週間後、専門家会議の提言に合わせ、大阪と兵庫で府県をまたいだ往来に自粛要請が出ると、開催の難しさを改めて認識せざるを得なくなった。

 大きな損害を引き受ける選択肢と、国民の総意のような錯覚さえ抱かせる同調圧力にさらされ、主催者は厳しい決断を迫られた。


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国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎

2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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