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興行中止保険 新型コロナによる損害を補償できず
- 2020/4/9

対象となる中止理由は『天候不良』や『出演者の降板』がメイン
新型コロナウイルスの影響で、展示会、ライブ、スポーツ大会、演劇など様々なイベントが中止になったが、感染症を理由に中止したイベントの損害を補償できる保険は、いずれの場合もないようだ。「興行中止保険」などの名称で損保各社が販売しているが、感染症による中止については各社とも対象外としている。理由は、「被害とリスクの規模を予測できない」(あいおいニッセイ同和損害保険・広報)からだ。
「興行中止保険」という商品名は付いているものの、実際には案件ごとに補償対象についてリスクを計算するオーダーメイド型の保険だ。事故が起きた場合に契約者に支払われる保険金や、契約時に契約者が支払う保険料の平均値については「案件ごとの個別性が強いため、出せない」と各社が回答した。コンサート、スポーツ大会、花火大会などの主催者と契約する案件が多く、展示会主催会社の利用はゼロではないものの、それほど多くないようだ。
保険金を支払った案件が多いのは「悪天候や出演者の病気による中止が主」(損害保険ジャパン・広報)「天候を理由に中止となったものが多い」(三井住友海上保険・広報)という。天候や災害による損害を補償する場合は、開催地域の過去の天候データや地震発生予測を参考に保険料を決定するという。
今後、新型コロナウイルスなど感染症の流行によるイベントの自粛要請を対象の範囲にするか、という問いに対しては、あいおいニッセイ同和損害保険が「今後の事態の収束状況やワクチンの開発状況等の再発リスクなどを見極めながら慎重に検討する」と答えたが、他社は「今後も対象外の方向」とした。
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2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。