第23回 オンラインと無縁だった店舗が始めた新サービス[今日の中国]

 
  • 2020/6/25
▲日系の牛丼チェーン店舗で商品を待つ配達員たち

配達や代行が生む新市場

 早いものでこのコラムの連載も2年となり、中国人の生活習慣も連載が始まった頃とは大きく変わりました。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大を経て、消費者は、いっそう利便性を求める傾向が強まりました。今、中国では新しい購入・販売方法が生まれ始めています。

 外出禁止が続き、お客さんが店に来なくなった店舗が、自らお客さんのところへ出向き、商品を届けるサービスを始めたのです。配達業務は認められていたとはいえ、外の移動は大変な時期です。たくさんの人が住むマンションの入口では、体温検査、健康状態をはかるアプリの提示、自分と商品を届ける顧客情報の記載など、さまざまなチェックを受けなければなりません。それらを通過して、ようやく顧客に商品を届けることができます。

 私の家にも、コンビニエンスストアのスタッフが食器洗剤を1個持ってきてくれました。申し訳ないと思いつつ、「大変ですね」と声をかけたら、「お客さんが来ないので、少しでも売上をつくらないと私の給与もなくなるでしょう。コロナは正直怖いのだけど」と答えました。

 コンビニ・飲食・アパレル・スーパーなど、多くの店舗がWeChat(ウィーチャット)などのSNSを使い、顧客とのコミュニケーションを継続して取り、販売を伸ばしています。実店舗を経営する事業者がオンラインサービスを使い、新たなサービス提供を始めているのです。これは「OnlineMergeswithOffline(オンラインとオフラインの融合)」を略して、「OMO」と呼ばれる小売の形態です。新型コロナ後の中国で広がり始めており、今後もさらに拡大するものと思われます。

 オンラインとオフラインの事業者が交わることは、これまで非常にまれでした。オフラインの世界で商売をする事業者は、オンラインに関わっていなかったのです。しかし、顧客が店まで出歩けない状況に適応せざるを得なくなり、オンラインとオフラインをミックスした小売業態が広がりました。ITから取り残されていたオフラインの事業者はたくさんあり、これからオンラインサービスを使った新たなサービスを提供するようになるはずです。

 同じ流れにおいて、拡大しているのが代行サービスです。墓参り代行、ペット飼育代行、さらに、自分が食べたいものを他の人に食べてもらい、その動画を見て自分が食べているかのような満足感を得る飲食代行というサービスまではやり始めています。これも新型コロナ以降、「人ごみを作らず・人ごみには行かない」との世間の風潮から生まれたものです。 

狩野浩治氏

1964年福岡県生まれ。バックパッカーとして各国を回った後、国内大手小売り会社に入社し海外事業部に配属。以降33年間、海外生活が続き、8年前から中国で生活する。中国企業の副総経理を務める。


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