第20回 上海では9割の企業が在宅勤務 学校の休校も続く[今日の中国]

 
  • 2020/3/2
▲ 上海市内の地下鉄は今も人がまばらです

上海市には上海国籍以外は入れず

 「新型肺炎コロナウィルス」への対応は万全ですか。私は中国に自宅があるため、こちらで生活をしなければなりません。武漢から邦人を連れ戻すチャーター機の報道が盛り上がっていましたが、あの飛行機に乗れるのは、帰国できる家が日本にある人だけです。

 私が生活する中国・上海(廈門から12月に引っ越しました)は、中国で最も多くの日本人が住む大都市です。いろいろな情報があるため、正確な数字は分かりませんが、およそ5万人の日本人が居住し、出張者数を含めると通常は、延べ10万人前後の日本人がいるといわれています。

 コロナウィルスの被害が明るみになった時期が春節休暇(今年は1月24日~30日)と重なったため、多くの日本人はすでに帰国していました。日本人学校も現在は閉鎖しており再開の目処が立っていません。

 日本行きの飛行機も減りましたが、元々の便数が多いので、現在も行き来はできます。上海の日本人には、武漢のように「早く帰国しなければ」という切迫感はあまり感じません。それでも駐在者の家族はほぼ全員、駐在者も法人の%が帰国し、残っているのは私のような個人事業主ばかりです。

 コロナウィルスに関する中国での報道は、発生当初から、内容の真偽は別にして(当初は原因が分からなかったため)、危険度についてはきちんと伝えていたと感じます。ただし、中国は広い国なので省や地域などの受け手側によって温度差があったと思われます。

 私が日本に出張した12月31日は、上海空港においても特に変化はなく、普通に出国しました。しかし、1月23日の春節直前に戻ると、上海政府の危機意識が一気に高まっていました。春節休暇の移動と感染拡大が重なったことが、状況を一層悪くしたといえます。

 その後公的機関のスタッフに対して2月3日まで春節休暇が延長され、さらに2月9日まで再延長されると、多くの民間企業も追随しました。上海市民には外出しないことが奨励され、外出する場合はマスクを徹底し、他人と話す場合は1メートル以上離れ、使い捨て手袋を携帯し、エレベーターのボタンなど不特定多数の人が触る箇所はじかに触らない、帰宅時は手、靴、衣服を消毒する、などの注意喚起がSNSで拡散されました。たくさんの人が自宅待機を強いられましたが、市民の間で大きな不満は出ていなかったと思われます。

▲ 配達員はマンション内に入れないため、外の門で受け渡しが行われます

 2月1日以降は、マンションの敷地内に入る場合は、住民でも熱検査を受け、住民以外の立ち入りは禁止となったので、宅配便や宅配弁当は敷地の入口で受け取るようになりました。2月10日に一部企業が活動を再開しても、飲食店、ショッピングモール、各企業への出入りにおいても熱検査が徹底されました。効果の有り無しよりも、市民に自覚を持たせるのに一役買ったと思います。

 2月17日現在、再開された企業も9割は自宅勤務で、地下鉄・バスは6割運行、学校は3月末まで休校、2月末まで自宅待機を徹底するといった規制があります。今後の感染状況により変化もあるでしょう。

 一方で、上海では新規感染者が減少しています。上海市内には特別許可車を除き、上海ナンバー以外の車は入れず、飛行機や列車でも上海市民以外は入れません(出ることはできます)。海外からの入国者も、状況は日々変わりますが、上海国籍を持つ人以外は入国は許さず、各省地域へのトランジットまで認められます。

 その反面、経済をめぐる状況は深刻です。自由に外出できない、入店するまでが面倒といったこのような状況下で、オフライン店舗や飲食店は大きなダメージを受けて、特に飲食店は資金力のある企業を除く8割が、2月末まで閉店するともいわれています。

 オンラインは顕著で、マスク、消毒液、日用品、カップラーメンの売り上げが好調です。海外渡航者が減少している今、航空会社・ホテルなどの営業も人員の期間削減や報酬の減額に至り、観光業はダメージを受けています。他業種も休暇の延長や営業自粛が給与の減少につながっています。住宅ローンの返済に困る人も多くいると思います。

 とはいえ、中国人はピンチをチャンスに変える力にたけています。いずれ、そう遠くない未来に、中国は内需拡大にシフトチェンジするタイミングを迎えますが、今回のコロナウィルスが、そのきっかけとなる可能性も十分にあるでしょう。

狩野浩治氏

1964年福岡県生まれ。バックパッカーとして各国を回った後、国内大手小売り会社に入社し海外事業部に配属。以降33年間、海外生活が続き、8年前から中国で生活する。中国企業の副総経理を務める。


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