ロボット研究者の祭典「ロボカップ」 100チーム500人が参加するロボットの競技大会

 
  • 2020/2/10

100チーム500人が参加するロボットの競技大会「ロボカップ」

 自作のロボットでサッカーなどの競技を競う「ロボカップ」に参加するのは、大学や企業の研究室で活動するロボット研究者たちだ。100チーム500人の中には、中国、イラン、タイ、ドイツ、アメリカなど海外チームの姿もある。各地域の優勝者が集まる世界大会もあり、2019年のシドニー大会には各国から500チームが参加した。今年は、3月にジャパンオープンが、10月にアジア太平洋地域の国々から代表者が集うアジアパシフィック大会が、共に Aichi Sky Expo で開催される。

▲2017年に開催された名古屋大会の様子。5体の二足歩行ロボットで行うサッカーが数ある競技の中でも毎回盛り上がる。

 「ロボカップ」で行われる競技は、大きく4つに分けられる。『サッカー』は2足、4足などロボットの形状ごとにリーグを分けて行われる。『レスキュー』は、災害現場に見立てた場所で決められた作業や情報収集などの課題を競う。『アットホーム』は、キッチンやリビングなど家庭内における日常的な作業を行う。『ジュニア』は、11〜19才の子供たちがサッカー、レスキューなどの競技を行う。それぞれのリーグには、実物のロボットを使わずプログラムだけで競うシュミレーションリーグもある。

 『2050年に人型ロボットで、サッカーワールドカップチャンピオンに勝つ』という目標を掲げ、「ロボカップ」は始まった。そのため、5体の2足歩行ロボットによるサッカー『ヒューマノイドリーグ』は、人気プログラムの一つだ。参加常連校の千葉工業大学は、2018年に世界チャンピオンになり、国内では実力が頭一つ抜けている。

 ゲームは5分ハーフで行われる。選手であるロボットは、それぞれがセンサーやプログラムを駆使して自ら動くため、人間による操縦者は存在しない。チーム参加者たちはロボット同士の競技が始まると、基本的には何もせず、ロボット同士のサッカーを見ているだけだ。戦略もチームによってさまざまだ。

▲災害救助現場や、生活空間での課題を競うリーグもある

 参加チームの大半は、大学の研究室を母体としており、三菱電機、パナソニック、オムロンといった企業チームも一部参加する。ロボットの調整役として1チーム5人程度が参加する。また、ゲームを見にロボット好きの来場者も集まる。毎年会場が異なるため、場所によって異なるが、多い時には1万人程度になることもある。

ジャパンオープンに加え2020年は世界大会もAichi Sky Expoで

 ジャパンオープンとはいえ、中国、イラン、タイ、ドイツ、アメリカなど海外チームも参加する。「ロボカップ」の発祥が日本であることも関係しているようだ。1995年、日本のロボット研究者が始めた「ロボカップ」は、競技とともに、研究者同士が情報交換をする場にもなっている。会期中に研究者によるカンファレンスや研究発表も行われ、それらを目的にくる人も多い。

 だが、ロボット研究自体は近年、海外に押されている。IROSという国際的なロボット研究者の会議では、国別論文発表数で昨年日本が中国に抜かれ3位に落ちたことが話題になった(1位はアメリカ)。「動きの精度をコントロールする制御技術で、かろうじて日本はがん張っている状況」(ロボカップ日本委員会・岡田浩之会長)

▲「ロボカップ」は日本発祥だが、今では世界大会も開催され、カンファレンスも併催される。期間中は各国のロボット研究者が集い情報交換する場となる。

 「ロボカップ」ジャパンオープンは25年続くが、イベントを巡る状況は大きく変わった。10年ほど前までは、大手広告代理店が大会運営に関わり、スポンサー企業や一般来場者も多かった。だが、代理店が手を引いてからは、参加者であるロボット研究者たちがイベントを運営する。岡田浩之会長も玉川大学の教授職にあり、ロボカップの事務局は研究室の傍らに置かれている。また、イベントの売り上げは競技参加者が支払う1万円程度の参加費がメインだ。スポンサー広告収入もあるが、営業を行うのも委員会メンバーだけだ。

 3〜4年ほど前から、世界大会には、AmazonやGoogleなどの世界的IT企業が参加するようになった。競技参加と同時にスポンサーにも加わるため、大会運営は軌道に乗っている。一方ジャパンオープンは、会場費や警備費を売り上げだけでは賄えず、自治体をはじめとする協力者が現れなければ、競技参加者だけの小さなイベントで終わってしまうことも多い。

▲ ロボカップ日本委員会の岡田浩之会長

 参加者の多くは、国内でも屈指のロボット研究者たちだ。海外の巨大IT企業に就職していく学生も多い。そのため、スポンサー企業と参加学生をつなぐリクルーティングのプログラムも企画されている。最も、参加する日本人学生たちが就職先としてイメージするのは海外企業が中心で、日本企業にはあまり目が向いていないのが現状だ。「日本に先進的なロボット技術や知識を活かせる企業が少ないことを学生たちは知っている」(岡田会長)

 2020年の会場は、中部国際空港の隣に19年にオープンした Aichi Sky Expo だ。さらに、10月にはアジアパシフィック大会が、Aichi Sky Expo で行われる。ここでは、ロボカップの代表選に加え、新たに操縦者のいない自動走行型ドローンの国際大会も企画されている。


国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎

2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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