2025大阪・関西万博 運営組織 大阪府咲洲庁舎に本部設置

万博の運営組織である日本国際博覧会協会が、1月30日設立される。大阪府の咲洲庁舎に事務所を置き、トップには日本経済団体連合会の中西宏明会長が就任する。だが、国内に万博運営の経験者は少なく、この先の行程は関係者の間でも見通しにくい状況のようだ。博覧会国際事務局(BIE)に日本政府代表として長く関わり、招致活動でも事務方で中心的役割を果たした経済産業省博覧会推進室の武田家明室長に話を聞いた。

今年前半はテーマ決め 年末めどにBIE申請

―1月30日、国、自治体、民間から人とお金を集めて「日本国際博覧会協会」が設立される予定だ。どのような組織で何を行うのか。
大阪・関西万博に関する準備はこの組織が担う。オールジャパンで臨むために世耕経済産業大臣が経団連の中西会長にトップ就任をお願いした。協会は30人程度で始まるが、愛知万博にならい最終的には450人以上の組織になる見込みだ。
オリンピックは自治体が開催主体だが、万博は国際博覧会(BIE)条約に基づくイベントなので、国が開催の義務を負う。協会への予算補助や、公務員を協会に現役出向させることを含む万博特措法案を28日から始まる通常国会に提出し、会期中の通過を目指す。

―大阪・関西万博は誰に、何を見せるイベントにするのか。
BIE条約では、第1条で「公衆の教育を主たる目的とする催し」と規定されている。大阪・関西万博の誘致案ではSDGs(国連が掲げる持続可能な世界を実現するための17項目の開発目標)への貢献をうたった。万博の志を大真面目に語れば「個人が世界のために何ができるのかを考える機会」となるだろうが、それだけでは「万博に行こう」とはならない。エンターテインメント的要素がなければ人は集まらないので、「月の石」(70年大阪万博)や「冷凍マンモス」(愛知万博)のようなコンテンツは必要だ。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などの技術で、会場以外の場所から参加できることも検討されるだろう。

一番大切なのは、小・中学生に「未来は明るい」ということを見せることだ。当初、万博誘致の話が出た時に大きく反応したのは、70年万博に参加した人たちだったと思う。子供時代に見た当時の感動が今も残っているから、日本で開催されることに興奮した。同じ感動を2025年に会場に集まる子供たちに届けることが重要だ。そのために、若い世代の感覚で万博をつくっていかなければならない。
大阪・関西万博は、万博の中でも5年に1度しか開催されない「登録博」と呼ばれるもので、開催にはさらにBIEの承認が必要だ。2020年10月にドバイ万博が始まるのに先立ち承認を得て、ドバイの会場で2025年の参加を呼び掛けることを目指す。そのために、今年の年末までには登録申請が必要だ。今年前半は、有識者に集まってもらいテーマを深める。1月25日に、第1回目の会議を開催する。

―誘致案では、来場者の目標を2800万人としている。前回の愛知万博の2200万人をベースにしたもののようだが、70年万博の6400万人に比べ少なくないか。
堅めに見積もっている。だが、70年万博規模の来場者を見込むことには無理がある。当時とは時代が異なり、日本人の人口の半分が来場するのは、今の時代では難しい。
上振れを期待する一方で、そうなった場合、旅客輸送や宿泊施設供給に不足をきたしてはならない。万博会場の夢洲に陸路で入るには、ポイントが南北2カ所しかない。船舶やヘリコプターなどの手段も真剣に検討する必要があるだろう。

―志願して、今の立場についたということだが。
万博に関しては、経済産業省の中で誰よりも深く関わってきた自負がある。在フランス日本国大使館と今のポストで、都合10年半万博に関わる仕事をした。最初に赴任した書記官時代に愛知万博を経験し、2度目の参事官時代はBIE日本政府代表としてBIE事務局のメンバーと深く関わった。
2016年に、日本が立候補すると聞いた時は、困難な戦いになると思い、政府にもそう伝えた。フランスの立候補が決まっていたからだ。パリはエッフェル塔やシャンゼリゼ通りのグラン・パレをはじめ、過去8回の万博で作られた街並みが残り、欧州人には「万博=パリ」と刷り込まれている。だが、日本が本気で誘致を目指しているとわかり、勝てるとは言えなかったが、自分がやらなければ負けると思い今のポストを直訴した。フランスの辞退に救われた。終盤のロシアの追い上げは激しく、決まる瞬間は「夢なら覚めないで」と祈るような気持ちでいた。

経済産業省・博覧会推進室博覧会国際事務局(BIE)日本政府代表武田 家明室長(47)

1971年2月生まれ、奈良市出身。94年経済産業省入省。2003~07年、12~17年に在フランス日本国大使館に駐在し、万博の国際本部である博覧会国際事務局(BIE)でも、日本政府代表を長く務める。


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国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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