【医療インバウンド10年の軌跡】第5回 主要プレイヤー

▲外国人を相手にする医療現場において、通訳は命に関わる重要な役割を担うが、体制は整っているとは言い難い(写真はイメージ)

海外から医療を目的にする人を呼ぼうとすると、そこには医療従事者以外にもさまざまなプレイヤーが関わることになる。今回は、コーディネーター、医療通訳、関連省庁、病院などの主要プレイヤーについて説明する。

見落とされがちな医療通訳者の重要性

コーディネーター

病院と外国人の患者・検診を受けたい人を結ぶ人です。日本にいる親族や知人を頼ることもあります。親族や友達が日本語を話せれば、その方が楽だからです。仕事で取引のある会社を介する紹介もよく見られます。また、海外の病院と提携する日本の病院に紹介で来る人もいます。もちろん、海外から来る患者や検診者が、直接病院に連絡することもあります。

医療通訳

非常に重要な存在ですが、医療通訳の投入コストは見落とされがちです。AIによる自動翻訳もありますが、医療の現場ではまだうまくいっていません。ベテランの医療通訳がいる、または外国人のドクター、看護師がいることはとても重要です。

医療通訳専門の資格はありません。医療通訳を専門にする人を集めている通訳翻訳専門の会社はあります。病院などの医療施設は、海外からの患者さんが増えると外国人の看護師を雇います。そのほうが早いのかもしれません。外国人医師には、外国人で海外の医師免許を持つ人と、日本で医師免許を取得した人がいます。留学生が対応するケースもありますが関わる人のタイプにはばらつきがあります。

医療通訳は責任が重い仕事です。間違って通訳すると大変なことになることは誰にでもわかることですが、理解されていないことが多いのです。

関連省庁

新成長戦略のなかで医療インバウンドは、内閣官房で首相がトップに立ち、観光庁、外務省、経済産業省、厚生労働省が専門家の立場となって制度整備が進められています。経済産業省の管轄下にメディカルエクセレンスジャパン(MEJ)という外郭団体があります。外国人が日本で病気になったとき、病院に連れて行ったり、万が一日本で亡くなられた場合に葬儀したり、といったことに対応します。

病院

一番多いのは大学病院を含む総合病院です。大学の名前を出すと、外国人は安心する人が多いようです。クリニックの方が専門に特化しているため、総合病院に比べ動きは早いです。専門病院や治療をしない検診だけの施設などがあります。

山形大学付属病院では今年から重粒子線施設が稼働します。重粒子線の機械は世界にはあまり数がなく、日本に集中しています。重粒子線治療を目当てにやってくる外国人を積極的に集めようと、本格的に取り組まれています。

関係する法律、資格

医療滞在ビザ制度については、以前お伝えしましたが、早急につくったこともあり、大変大らかな制度になっています。受け入れ分野は、医療機関における治療行為だけではなく、人間ドック、健康診断、温泉療養まで幅広い範囲が対象です。 制度の核は、医療目的で日本に来たときの施設、例えば温泉療養だとしたら、「温泉療養に1カ月滞在した方がいい」と言ってくれる病院や、診療所があればいいということです。制度の使い方によって、さまざまな可能性があるのです。



(一社)日本旅行業協会
国内・訪日旅行推進部
青木志郎副部長

旅行代理店大手の日本旅行に20年勤務。10年前から医療診断・治療目的で来日する外国人と日本の医療機関をつなぐ医療渡航支援業務に携わる。


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