顔認証システム ライブイベントで認知広がる

▲顔認証システム ライブで広がる
来場者数の正確な測り方
イベントをマーケティング手段として有効なものにするためには、「どんな人が何人来たか」という正確な来場者情報の取得と、集めた来場者データに対する情報の発信と収集の継続が必要だ。ライブイベントで利用が進む顔認証システムと、来場者との関係深化を狙ったSNSサービスを取材した。
イベントのチケット運用やファンクラブの運営を受託するテイパーズ(東京都港区)は、一部のライブイベントの入場受付において、2014年から顔認証システムを採用する。転売目的の購入を防ぐため、購入者と来場者が同一人物であることを確認するのが目的だ。1万人の来場者を28台のカメラを使い1時間で全員入場させているという。
チケット購入者は、ウェブサイトで決済をする時に、自分の顔を映した5秒間の動画を登録する。当日はチケットを見せ、ウェブカメラに顔を向けると認証作業は一瞬で終わる。一人の来場者がチケットを見せて受付を抜けるまでにかかる時間は5秒以内だ。
システムはNECソリューションイノベータ(神奈川県川崎市)のもので、東京オリ・パラでの採用も決まっている。当初は撮影場所や気候条件により認証できないこともあったが、精度が上がりスピードも初期の1.7倍になった。
人気イベントのチケットが転売を目的に買い占められて高額で取引される状況は、ウェブオークションやフリマアプリの利用者増加に合わせて拡大した。高額なために転売が成立せず、完売していても客席に空席が多いことも珍しくない。「アーティストのためにならないお金でライブが高いものと思われてしまう。ライブを楽しむ人が減ることが一番の問題」とテイパーズの冨澤孝明常務は話す。
これまでテイパーズが顔認証を行ったイベントは4年間で170公演程度で、ライブイベント全体から見ればほんの一部にすぎない。だが、昨年12月に不正転売防止法が国会を通過し、6月以降、ダフ屋行為に対してウェブの取引を含めて罰則が適用される。「顔認証してまで本人確認する必要を感じていない主催者は多い。顔認証が当たり前にならなければ」(冨澤常務)
▲テイパーズの冨澤孝明常務(左)と、NECソリューションイノベータの高木剛氏(右)
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国際イベントニュース編集長 東島淳一郎 Follow
@int_ev_news
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。