トップに聞く2020年後の仕事-①

2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催まで20カ月をきった。施設やインフラ関連工事の真っ只中にあるものの、オリンピック後に向けた準備が気になリはじめたイベント業界関係者は少なくないだろう。商機はどこにあるのか、業界大手のトップに聞くリレーインタビューの初回は、ディスプレイ業大手、丹青社の高橋貴志社長だ。

インバウンド関連受注は今後も継続

ーここ数年、売上利益ともに過去最高の更新が続き、業績は好調だ。3年で1.2倍の売り上げ(752億円・2018年1月期)に対して、営業利益は1.7倍(46億円)と伸び率が高い。理由は何か。

ディスプレイ産業は景気に左右されやすく、価格競争に巻き込まれやすい業界だった。長い間ここから抜け出すことを目指してやってきたことが、業績に結びいている。利益の伸びは商業チェーンストアの内外装事業によるところが大きい。理由はチェーンストア事業に関する社内の習熟度が増し、利益が出る体質になったからだ(部門売り上げ195億円は3年前の1.3倍、営業利益11億円は3.3倍)。また、博物館や美術館などの文化施設部門、ホテルや交通インフラなどの商業その他施設部門では、インバウンド関連の受注が好調だ。交通機関、エンターテインメント施設、飲食店、物販、宿泊、文化・歴史施設など、至る所で空間デザインに対する要望が多かった。

ーインバウンド関連の仕事は2020年後も続くと思うか。

2020以降もターミナル駅の大型再開発案件がいくつもある。都内では高輪ゲートシティ駅周辺の品川、駅前再開発が継続する渋谷。万博が決まった大阪では周辺インフラの関連事業が増えることに加え、大阪駅北側の旧JR操車場跡地の開発も始まる。名古屋と博多・天神でも大きな再開発が控えており、これらの地域で受注を狙う。統合型リゾート(IR)にも注目している。最近は、新築だけでなく、建物を残したリニューアル案件が増えており、当社にとっては追い風だ。16年に福岡で「西鉄ホテルクルーム博多」(旧西鉄イン博多)の全館リニューアルを行ったが、同様の事例を積み重ねたい。

デザイン力強化目指し組織改編

ー再開発案件は競合にとっても同じくチャンスとなるが、何を強みとしていくのか。

デザイン思考という言葉を聞く機会が増えた。そのことにも現れているが、社会がデザインを必要とする場面が増えている。顧客のなかにそういう問題意識が芽生えたとき、最初に浮かぶ存在になることが究極の目標だ。我々の仕事は空間づくりにより顧客の課題を解決することだが、原資となるのはデザイン、クリエイティブ力だ。この部分の強化を目指して、18年から社内の各事業部門に分かれていたデザイン担当者を、全て一箇所に集めるデザインセンターをつくった。博物館の空間展示をやってきた人と、商業施設を専門にしてきた人が隣に座って仕事をしている。17年末、当社のデザインにより完成した東京メトロ銀座線上野駅は、芸術の街上野を象徴させ美術館をイメージしたプランが、コンペでの評価につながった。そういった相乗効果が、たくさん現れるようになると、顧客の頭に、他とは異なる丹青社の仕事として記憶されると思っている。

ー制作部門出身の社長として意識していることは。

社員には、いい仕事をしようと話している。いい仕事とは、顧客に喜ばれ、社員に誇りが生まれ、コストに見合った利益を会社に生むものだ。どんなに顧客に喜ばれても社員が辛いだけでは、意味がない。顧客、社員、会社に喜ばれる仕事を追求する。

丹青社(東京都品川区) 高橋 貴志社長(63)
1955年9月、東京都港区出身。都立工芸高校室内工芸科卒業後、1974年丹青社に入社。制作部門の現場で実績を積み、2010年商空間事業部の制作部門トップとして取締役就任。その後デザイン部門の責任者も兼任し、15年常務、16年副社長を経て、17年4月より現職。趣味はゴルフ。

会社概要
社名:丹青社
設立:1959年12月25日
資本金:40億2600万円
従業員数:1157人(連結)
子会社:9社
拠点:国内11、海外2
事業内容:総合ディスプレイ業
売り上げ:751億5600万円(2018年1月期)
経常利益:47億4100万円(2018年1月期)

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国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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