▲2018年はライブを開催し、若者の集客を狙ったが、挽回には至らなかった。

2019年の開催取りやめ

ドイツ・ハノーバーに本拠地を置く展示会主催のドイツメッセが、来年6月に開催を予定していたIT産業の展示会「CEBIT」の開催を取りやめることを発表した。要因は出展企業の申し込み減少としており、今後は、同じ会場で開催する「ハノーバーメッセ」に統合しつつ、新たな企画を準備する。

出展企業の減少が要因

「CEBIT」は製造業全般を対象にする「ハノーバーメッセ」の一部として始まり、1986年以降、IT産業の独立した展示会として開催されてきた。現在は、バンコク、シドニー、モスクワでも開催され、世界的に知名度も高い。2017年は、安倍・メルケル両首相の会談で、日本がパートナーカントリーに選ばれ、政府やJETROの支援により118社の日本企業が出展した。18年は21社に減ったが、全体の出展者数は2800社だった。
一方で、出展企業の減少は10年ほど前から始まっていた。IT全般を対象とするため、産業別の展示会と異なり、出展者・来場者とも開催年によって色が変わりやすく、ターゲットを明確にしたい出展企業から敬遠されるようになっていた。昨年は、開催時期を4月から6月に変更し、若者の来場を増やそうとアーティストを呼ぶなど内容の一新を図ったが、来場者の減少を止めることができなかった。
ドイツメッセの日本代表部が置かれる(一社)日本能率協会(東京都港区)によると、昨年は、日本から出展したほとんどのの企業が、来場者の少なさを指摘したという。「日程変更が影響し、雰囲気閑散としていたことは否めなかった」(ドイツメッセ担当・竹生学史氏)
だが、ドイツメッセは2800社から集めた売り上げを失うことになる。それでも中止を決定した理由について、竹生氏は2つの可能性をあげた。1つは利益だ。収支については能率協会をはじめとする各国のパートナー企業にも発表されていないため「正確なことはわからない」としながら、大規模な展示会だけに世界で宣伝活動を行なうなど、一般的な展示会よりも主催者の負担が大きいことを指摘した。
もう1つは、ブランドの維持だ。バンコク、シドニー、モスクワのCEBITは今のところ継続の予定だ。ドイツメッセはCEBIT以外にも展示会の海外展開を強化している。「主催者会社としてドイツメッセのブランドを重視したのかもしれない」(竹生氏)。

特定の顧客層をつかめず埋没


▲17、18年のCEBITに出展したアスタリスク

バーコードやRFタグのシステムを販売するアスタリスク(大阪市)は、2017年、18年と2年連続でCEBITに出展した。18年に欧州拠点をオランダ・ロッテルダムに開設したのにあわせて知名度を高めることが目的だった。10月まで主催者から営業を受けていたが、19年は出展を見送ることを決めていた。
来場者の対象が広く、求める顧客層に情報を発信できていないという判断によるものだ。同社の既存顧客は物流、小売、医療業界に多い。日本では「Japan IT Week」(リード社)、小売業界向けでは「リテールテック」(日本経済新聞)、アメリカの「NRF」、中国の「China shop」、その他にも国内外で医療業界やRFタグ関連技術の展示会に出展している。これらに比べて、CEBITでは反応が得られなかった。欧州向けの市場開拓として、来年はデュッセルドルフで2月に開催される「EURO CIS」に出展するという。
「12万人とはいえ、日本の同じ来場規模の展示会と異なり、閑散としていた」(担当者) 17年に出展した製造・物流業向けの在庫管理システムをつくるIT企業は、パートナーカントリーだったためコストを抑えて出展できた。だが、日本と展示会の商習慣が異なり成果を得られず、18年の出展は取りやめた。情報収集を目的にする人が多い日本の展示会に対して、CEBITはクロージング目的で来場する人が多く、ブースに人を迎えることができなかった。

CEBIT(国際情報通信技術見本市)
会場:ドイツ・ハノーバーメッセ
会期:2019年6月24〜28日(※開催中止)
主催:ドイツメッセ
出展者数:2800社
来場者数:12万人

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国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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