愛知国際会議展示場(名古屋市)モルガン・ショドゥレール社長(45)
1973年5月、フランスで生まれる。パリ・ドフィーヌ国立大学で税務財務、フランス国立東洋言語文化研究院で日本語を学ぶ。アンダーセン/朝日監査法人、LVMH・ジャパン新日本監査法人エルメス・ジャパンプチバトー・ジャパンを経て、16年に関西エアポートの常務執行役就任。18年9月より現職。

モルガン・ショドゥレール氏は、関西空港、伊丹空港、神戸空港を運営する関西エアポート(大阪府泉佐野市)の常務を務め、9月に愛知国際会議展示場(名古屋市)の社長に就任した。一見接点がない空港と展示場の経営を結ぶのは、公的施設の経営を民間が行う「コンセッション方式」だ。増収増益を継続する関西エアポートの株を4割保有するヴァンシエアポートは、空港経営を専門にする。愛知国際会議展示場に株主参加するGL events社も施設運営を専門にしており、両者は共にフランスに本拠地を置く民間企業だ。流ちょうな日本語を話すフランス人のモルガン社長は、Aichi Sky Expoについて、世界に愛知を売るための仕掛けと捉えている。

空港経営で公民連携を経験

―愛知県がAichi Sky Expoの経営をGL eventsと前田建設工業に託したのは、GL eventsが持つ展示会場経営の実績に期待してのことだと思うが、実際にはどんな運営をするのか。

2つの仕事をやらなければならない。一つは愛知という地域の魅力を世界に発信することだ。愛知は世界的なものづくり産業の集積地だ。特に、自動車、ロボット、宇宙工学の分野における地域企業の存在は大きい。だが、世界で「自動車、ロボット、宇宙工学のまち」として愛知を認識する人はいない。愛知の魅力が全くPRされていないということだ。もう一つはAichi Sky Expoのアピールだが、展示会場は愛知の魅力を世界に発信するための優れた道具になると捉えている。

―地域産業を武器にした世界向けの地域ブランディングを、展示会場を使って行うということだが、これまでに同様の実績はあるのか。

GL eventsの実績としては、フランス・トゥルーズが挙げられる。航空機大手のエアバスが本社を置く街だが、自治体やコンベンションビューローと協力しながら3つのコンベンション施設を運営している。愛知と同じく航空宇宙産業の集積地で、関連企業や研究施設が多い。カンファレンスや展示会が開催されると世界の研究者や業界関係者が訪れ、イベントに合わせ工場や施設を見学する産業観光も活発だ。

―トゥルーズのような産業を軸にしたブランディングを行うために展示会を使うとして、今日本の展示会場に足りないものは何だと思うか。

真っ先に思い浮かぶのは、ケータリングだ。日本のケータリングサービスは世界に比べると弱い。GL eventsが運営する施設では、展示会場の中でもホテルのような食事やサービスを提供することができる。会場にいるのは、ビジネス目的とはいえ、それぞれの道の専門家であり要職に就いている人も多い。会場に訪れた目的には、そこに集まった業界の仲間たちと話をして親交を深めることも含まれている。そういった目的を果たすのに適した空間、食事、サービスを提供できている会場は、今日本にはない。専門業界に声をかけながら、新しビジネスをつくる必要がある。

―モルガン氏は関西エアポートでの実績を買われての社長就任だと思う。何をしようと思うか。

公共施設の運営でも民間だからできることは多い。保安検査などの搭乗手続きを自動・簡素化して時間を短縮したファストトラベルは最たる例だ。Aichi Sky ExpoでもGL eventsが培ったノウハウを生かせる機会は大いにあるだろう。

Aichi Sky Expo(愛知国際会議展示場)

愛知県常滑市の中部国際空港(セントレア)に直結する、6万㎡の展示場。2019年9月に開業予定。名古屋から名鉄線ミュースカイで28分。施設を運営する特定目的会社(SPC)の愛知国際会議展示場株式会社は、展示場や国際会議施設などのイベント施設を世界で40カ所運営するGL events社(仏)と、土木建設大手の前田建設工業(東京都千代田区)の出資により18年1月に設立された。

 

コンセッション方式

公的施設の運営を民間に委ねる仕組みで、愛知県がAichi Sky Expoの運営で採用した。契約期間は2019年9月~35年3月までの15年7カ月。運営会社は、運営権を得る対価として県に総額8億820万円を一括で支払う。ただし、当初5年間は、県が基金を設立し運営会社の損失を補填する。6年目以降は運営会社が単独で経営に当たる(ただし、県と運営会社が合意した目標収入よりも15%上振れ、もしくは下回った場合、その利益・損失は県に帰属する)


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国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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