▲事前に用意されたような発言内容で、総会は盛り上がりに欠けた。

使えぬビッグサイト、物申せぬ展示会業界

2020年のオリパラ準備・開催期間に、東京ビッグサイトを継続して使えるよう求めてきた日本展示会協会(東京都千代田区)が、これまでの働き掛けに区切りをつける。5月29日、メディアを呼んだ拡大総会の場で、都に提出する要望書の内容について協会員の意見集約を図り、「実現可能な要望に変えるべき」「ビッグサイトを使えない場合のリスクヘッジが必要」といった内容を賛成多数で承認した。都に対しメディア・放送センターを東京ビッグサイトに置く計画の変更や、既存の展示会がそのままの規模で移設できる代替施設の設置を求めてきたこれまでの主張を転換し、都の計画を認めた上で、一般利用できる期間の拡大を目指す。

壇上に上がった石積忠夫会長は、これまで協会が東京都に対して行ってきた働き掛けへの理解と、要望が聞き入れられないままの現状について報告した。展示会主催者の多くが、ビッグサイトから伝えられた19年の利用スケジュールを出展企業向けに発表しており、事実上、都の施設計画は実行力を持ち始めている。協会としては全面解決策を探しつつも、時間切れを受け止め、次善策へと対応を切り替えた。

吉田守克副会長は「東京都の無知と展示会業界の地位の低さが招いた結果」と総括し、「今のままでは国家レベルのプロジェクトが動くたびに、同じことが起こりかねない」と展示会の実態に対する理解を、今後も社会に働き掛けていく必要性を強く説いた。

日展協事務局によると、取りまとめられた要望書は、都に対して6月上旬の提出を予定する。だが、提出先は産業労働局の担当者で、これまでと同様、小池百合子都知事に直接手渡す機会は今のところ認められていないという。

記者の視点

総会では質問者の会社名、氏名を公表しないようメディアに対する要請があった。公表すると、何らかの不利益を被る可能性があるからだという。オリパラ準備・開催期間のビッグサイト利用に関してすでに不利益を被った人が、名前を公表して不満を述べると、さらに今後も不利益を被る可能性があるということだ。本紙は、誰から、どんな不利益が与えられる可能性があるのか、過去にそんな事例があったのか、日展協に説明を求めたが、回答は期限までに得られなかった。

このことは一連の騒動の分かりにくさを象徴している。展示会業界が陥った不幸な状況を改善できる相手は誰なのか。その相手に決断を迫らなければならないはずだが、協会の総会に何度参加しても、誰と戦っているのか、よく分からなかった。

テレビや一般紙でも取り上げられた一連の報道が、それ以上広がらなかったのも同じことではないだろうか。困っていることは伝わった。「大変だね」とねぎらいの言葉をもらった。だが、それだけだ。不利益が誰によってもたらされたのか伝えなければ、当事者でない人に怒りや同調など生まれるはずがない。

展示会業界に、憤りを言葉にできない弱さがまん延している。小池都知事は、このあまりにも弱い展示業界の立場を理解しているのだろうか。強い立場にいるのは都だ。当局を恐れて忖度(そんたく)しながら立ち振る舞うことは、どんな業界でもあることとして、黙って受け止めるのがこの国のビジネスマナーと思ってはいまいか。


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国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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