▲「最近の変化は高額な包丁を買っていく人が増えていること」と話す東京直輸入センター(東京都台東区)の佐藤雅浩常務

料理人や飲食店経営者を支える東西の道具街が、外国人客で沸いている。10年以上売れ続けている刃物店もあれば、今年に入って韓国人が訪れた食器店もあり、扱う商品により内情は異なるようだ。

東・浅草かっぱ橋道具街

「料理人に限っていえば、10年以上前から欧米の外国人が来ている」と話すのは業務用の料理包丁を販売する東京直輸入センター(東京都台東区)、佐藤雅浩常務だ。日本の包丁は海外で人気が高い。

4 、5年前から変化したのは、日本人、外国人とも料理人ではない人が増えたことだ。同時に中国人客も増えた。当初は爪切りやピーラーなど安価な小物が中心だったが、2年ほど前からは1本8万円や、1万5000円の包丁をまとめて購入する人が増えてきた。

今では売り上げの半分を外国人客が占める。その割合は今も増えており、「昨年も対前年比で1割は伸びていそう」(佐藤常務)と勢いは衰えていない。陶磁器を中心とする食器の製造販売、丸勝東京本店(台東区)では、中国、台湾からの客が4年前から増えた。5000円の皿をまとめ買いする客は珍しくなく、中国から来た個人客が100万円分購入したこともある。「当社が自社で製造した商品だけを売っていることに魅力を感じる客が多い」(中西照代取締役)

丸勝も海外法人との取引は以前からあった。飲食店経営者やホテルのバイヤーがマカオなどからやって来る。

西・大阪千日前道具屋筋

▲「昨年までウチの商売と外国人は関係ないと思ってた」と話す太星食器(大阪市)の堀畑昌克常務

生まれも育ちも千日前道具屋筋。80歳になる今も、包丁や調理器具を扱う山下金物(大阪市)の店頭に立つ山下喜世枝さんが、外国人客を意識するようになったのは4年ほど前のことだ。昨年末に、外国人客の売り上げは頂点に達し、今も来店客の6割ほどを占めている。世界各国から訪れるが、高価な品物を買っていくのは台湾人が多い。彼らが好んで選ぶのは3万円前後の包丁だ。

最近はスマホのライブチャットで自国の家族や友人としゃべりながら、品定めする人も増えてきた。しゃべっていたスマホを急に商品に向ける人を見ても、山下さんは驚かない。そんな客が増えたこともあり、昨年11月からアリペイでの決済にも対応するようになった。

山下金物から歩いて25歩。食器卸の太星食器(大阪市)は、インバウンド消費に縁がなかった。ちょうど1年前までは。特に何を変えたわけでもないが、昨年末から続く、3割増しの売り上げは外国人観光客によって支えられている。

顧客の中心は圧倒的に韓国人だ。しょうゆさしのような小皿がよく売れる。2カ月に一度来店しては、15万円程度を買って帰るバイヤーもいる。韓国に持ち帰ると3倍程度の値が付くらしい。彼らからの注文で、これまで扱わなかった品物も仕入れるようになった。

その一方で、中国人はほぼ入ってこない。「(中国では)珍しくないんやろ」(堀畑昌克常務)。ここ数カ月は欧米人が増えている。

どちらの道具街からも聞こえてきたのは、外国人客はSNSなどで情報を収集し、商品知識を蓄えて来ているということだ。「ここでしか手に入れられない価値が欲しい」という消費は、いっときの流行とは異なる底堅さを感じさせた。天井を打ったという声も聞かれる「爆買い」とは一線を画しながら、新しいインバウンド消費は確実に育ち始めている。

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国際イベントニュース 編集長 東島淳一郎国際イベントニュース編集長 東島淳一郎
2009年全国賃貸住宅新聞社入社。劇団主宰者から銀行勤務を経て30歳で記者に転身。7年間の記者生活を不動産市場で過ごす。2016年9月、本紙創刊とともに現職。

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