廃校となっていた旧市立銚子西高校の校舎と体育館を改修して、スポーツ団体向けの合宿所をつくろうと考えた小倉和俊さん。銚子市や千葉銀行の協力で、関東近県の高校野球部約300校から、合宿所の必要性を問うニーズ調査を実施するところまでこぎつけた。

スポーツと地方創生④

合宿所の必要性を問うニーズ調査では、75%が前向きな回答を示す結果だったにもかかわらず、施設の運営を引き受ける企業は現れませんでした。人口が減少する実態からは逃れようもなく、仕方なかったのかもしれません。誰もやらないなら、自分でやるしかない。スポーツ宿泊施設を運営する「銚子スポーツタウン」を2017年1月20日に立ち上げました。

資金は銚子スポーツコミュニティの役員から募ろうと思いました。「頭金500万円を2人から集めればいい」くらいの心づもりでいましたが、13人の役員のうち12人が出資を決めてくれました。二足のわらじを履くことに反対していたはずなのに、いざとなったら力を貸してくれる仲間に涙が出そうになりました。

廃校の体育館を改修するため、銚子市が費用を半分負担してくれることになり、第三セクターも加わりました。新設ではなくリノベーションにしたことで、総額を削減できたことがよかったようです。さらに、クラウドファウンディングでは1100万が集まりました。

クラウドファウンディングの募集期間中、4月に入社したばかりの若手社員がさまざまなネタをこまめに発信し続けました。最終的に、資金提供者の8割、金額の7割を、市民からいただいたことがわかり、良いPRになったと同時に地域からの期待を感じました。

夏になると、雨漏りしていた体育館もきれいになり、バスケットコートは2面取れるようになりました。体育館は3階建てでしたが、床を張り替えるだけでは面白くないので、バスケットコート1面半分の半地下スペースを室内練習野球場にしました。合宿利用者のアンケートに「雨天対策がない」という声も多かったので、この設備をアピール材料の一つにしようと思ったのです。

もう一つの売りは、宿泊施設、食堂、グラウンドが隣接していることです。地方の合宿所はグラウンドから離れていることが多いです。車で20分かかることも珍しくありません。我々の施設は、宿泊施設の目の前にグラウンドがあり、5競技を同時に行える体育館が横にあります。

夏休みに、私が教える成田のラグビーチームにモニターとして使ってもらいました。暮れにはプロ野球選手を招き、野球教室を行いました。銚子は27名のプロ野球選手を輩出しています。教室の先生はこうした元プロ野球選手たちでした。これは大きな財産なので、今後も定期的に開催し、銚子の野球人気を復活させたいと思っています。

我々の強みは行政、金融機関などの組織が協力してくれることです。R.project(千葉県鋸南町)は、スポーツ宿泊施設として日本最大級のものを千葉県内で展開する同業者ですが、我々に運営ノウハウを支援してくれます。千葉銀行も、融資以外のことでアドバイスをくれます。

私はもともと水道会社をやってきただけです。ノウハウも資金も人材もありませんでした。実現できたのは、たくさんの人や組織の支えがあったからです。


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銚子スポーツタウン・代表NPO法人銚子スポーツコミュニティ・理事長
小倉和俊氏
1965年銚子市生まれ。91年に和光設備に入社し、2007年に代表取締役に就任。10年にNPO法人銚子スポーツコミュニティを設立し、理事長に就任。銚子青年会議所の理事長、中学校のPTA会長など豊富な経験を生かし、スポーツツーリズムの推進に取り組む。

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